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■ ジョゼと虎となんとやら
『なんや、あの雲持って帰りたいわ』
と、恒夫と河原を疾走した彼女は言った。
この映画で、一番印象に残る言葉でした。
この日、僕はおそらく初めて
就活
なることを行った。
つっても、
オーナーさんとの顔合わせなんだけど。
そこは塾で、
俺に与えられる仕事は
そこの室長であること、
室長は
塾の生徒と、講師及び親との関係を勉強する環境で良好に保つこと(必要があればカウンセリングを行うこと)が主な仕事であり、
その良し悪しの結果は当然実績に現れる、すなわち経営面の数字に出てくるので、そのやりくりも考慮すること
という二つの仕事を同時かつ交互に作用させていくのを仕事とした者である
という説明を簡単にされました。
おれはとりあえず、
ふむふむ、やりがいを感じますね
と言ってました。
実際そう思ったし。
この時点では、あまり不安はなかった。
というより、なんだかよくわからなかった。
どんな仕事なのか
ではなく、
俺が本当にしたいことって何だってとこが。
そしてそれについて、あまり自分が考えていないのだということに
気づいていなかった。
その日観た映画でも、就活の場面とか出てきて
主人公に親近感を持ちながら観てました。
良く見ると、周りでスーツ着てるの俺だけで(なんたって就活してきたんで)、
ちょっと、こっ恥ずかしかった。
彼は最後に彼女を裏切りました。
というより、自分自身と彼女を信じ切ることができませんでした。
だから、
彼は泣いたんだよ。
恒夫が別の女と去っていく場面のとき、
俺の横で
「え、マジで〜!?」
とか言ってる、女の子二人!
彼は彼女から逃げたという行為に泣いたんじゃないよ。
彼は、彼女と自分を裏切ったことに後悔し、泣いたんだよ。
別の女んとこに走ることにガタガタ言ってる場合じゃないんだよ!
そこには勝者はいないんだ!
かと言って、敗者もいないんだ。
哀しいね、切ないね。
そんな思いに浸りながら、僕は京都行きの電車に飛び乗った。
そのとき、こんなことを考えていた。
「夕暮れのアゼリア通りを 僕は歩いていた。
ゆったりと時間が流れる中、 通りは 夕飯の買い出しをする人たちと 出店の店員のかけ声で 喧噪に包まれていた。
今日という一日が 静かに終わっていこうとするのを、 まるでくすくすと笑うかのように、 風が木々を揺らして僕に告げた。
そんなことなど素知らぬ顔で、 人々は 通りを慌ただしく往来するのだった。
僕は思わず立ち止まり、 後ろを振り返った。 明るく瞬く電灯が 霞んで見えた。
泣いていた。 僕はメランコリックだった。」
…う〜ん、浸っちゃってるねえ、完全に。
ダメだな、こりゃ。修正不可能。
『卵からプロテインが生まれるように 悩みの闇から真理が生まれる』
筋肉少女帯の歌から引っ張り出した歌詞を
バーの常連さんが
バー専用の掲示板に書き込んでいたのも
そのとき読んだ。
今、僕は、
悩みの闇にまさに突っ込もうとしていたとは知らずに…
そんときに、
一緒に映画を見た友達からもメールが来た。
欝のことをどうたらこうたらと書いてたので、
こんなメールを返信した。
「欝を乗り越えた先に真実があることを夏目漱石が記してるよ。 欝は何も生まない。欝の先に何がしかの歩みの第一歩があるんや。 闇は活力ではなく反動力だと感じます。」
ついさっきまで、
そいつと梅田駅付近で座って缶コーヒーを飲みながら、
「こうして座ると赤ちゃんと同じ目線になるんじゃね」
とか言って現実逃避してたやつが、こんなこと返信してるんです。
ほんと、笑ってまうわ。
おもろいんじゃない。
失笑や。
関東のお笑い系や。
だせ〜。
2004年01月16日(金)
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