キッシンジャーの日々
キッシンジャー



 みかんを食う

久々に人を好きになれると思って

それがなくなって

空しくなって

僕は

みかんを食う。

手のひらに収まる大きさの、甘酸っぱい香りのするそれに

右の親指で
切れ込みを入れる。

みかんのほのかな香りが
僕の鼻孔をくすぐる。

実にたどり着く。

二つに割って、片方を一気に頬張る。

優しい果汁、確かな歯ごたえ。

淡々と僕は
それを口に運ぶ。

実に淡々と。

コンポから
ハナレグミの
『サヨナラCOLOR』が聴こえる。

どこか切なくて
どこか励ましていて

みかんの味に似ていると

ふと思った。

2005年12月18日(日)
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