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世の中の女には男をダメにしてしまうやつと、そうじゃないやつがいる。 あたしはもちろん前者だ。 かなりの確率であたしと付き合った男は入院をする。 不思議だ。
彼が入院した。 原因は不明。とにかく背中が痛いらしい。 あたしが寝付いてから痛みがひどくなったらしく、目覚ましがなる前に彼のうめき声で目を覚ました。 ちょっともめたあげく救急車を呼んだ。またかよ。 昨日は腰が痛いと言っていたので一緒にはいろう、と誘ってお風呂に浸かった。 救急車を待つ間彼はこう言う。 昨日風呂に入ったせいかな。 どういう料簡なんだか。あたしのせいですか。
まぁとにかく救急車はきて、乗り込んでいったがなかなか収容先が見つからない。 救急車の中ってとっても冷静な空気が流れててでも彼は痛みにうめいていて あたしはどんな行動をとればいいのかさっぱり分からなかったからなにも言わず何もしなかった。 なんだかすごく場違いな気がする、あたしがここにいるってこと自体が。 だって彼は自分の(不摂生と貧弱な精神故の)不幸を嘆いてわめくことにせいいっぱいで あたしがそこに入り込む余地なんてないんだから。 彼はいつだって悲劇のヒーロー。 ま、悲劇なのは本当なんだけどさ。親父が1200万の借金してるとか。
行き先がやっと決まったら今度はやっぱりタクシー呼べばよかったかな〜とか思いはじめる。 救急車が着く音を聞いて開口一番「うっせぇな・・・」だし。 ただ、平日の朝早い時間やってる病院まってられそうになかったんだよね。 どっちにしろ文句たれるんだろーな、こいつ。 タクシーでいったら「俺がこんなに苦しんでるのに涼しい顔しやがって」みたいな。 そんなこといわれたって、あたしは痛くも痒くもないわけだし、一緒になって痛がってほしかったのかなぁ。 もし変な病気だったとしてあたしまでそんなことしてたら死ぬで?
しかし病院着いてからはその思いがますます強くなった。タクシーでくればよかった〜! 家から遠すぎ。あたし車運転できないよ。ウチの近くにもっともっと設備のいい病院あったのに、なんでこんなところ・・・。 って、しかも入院かよ!! ま、俺が痛がってるのに何もしてくれない・・・って視線が飛んで来ないからいいといえばいいんだけど。
病院について病室にうつされて・・・とりあえず点滴。 ルーシーリューそっくりのヘルパーさん(?)が彼の手の甲の血管と注射針でピストンしてた。 こいつサディストだ・・・。 着替えるまもなく点滴。てか、寝巻きは自分で持ってこなきゃいけないらしい。 だから、遠いんだってば。 そのうち偉そうにしてる看護婦のオバちゃんがきて、入院申込書かいてね、と言って去っていった。
彼の友人が荷物運びやなんかを手伝ってくれるというのでお願いすることにした。 あたし自信身づくろい一切せずに顔も洗わず出てきたもんだから、顔が痒い。頭は寝癖だし。 友人の車に乗って家まで行って準備してまた乗せてもらって買い物して病院に到着。 彼はまだ寝てた。 そのあと入院申込書の後見人のらんに記入してもらってお金を持って受付に行った。 5万円かかった。はたして彼はこのお金は返してくれるのだろうか。
くたくたになって家にタクシーで帰った。 そしてふと思った。 あたしって彼のなんなんだろう。 そう思うと苦しくて仕方がない。 今まで気がつかないようにしてやり過ごしてきたことが頭を駆け巡る。 一番に思い出したのは12月のODのこと。彼は。救急車を。呼んでくれなかった。 あたしと話すことを面倒くさがっていた。 あたしが仕事から帰ってきて一番に訊く事は、遠まわしでもお金のことだった。 あたしのことを色きちがいのように扱ってるとあたしが思うようなこともいった。 あたしがしたいといったこと(裁縫とか読書とか)を制限した。 あたしがお金を使うことを快く思ってなかった。 好きだよとか愛してるよとか、目を見て言ってくれなくなった。 そして俺はお前のタクシーじゃないとも言った。 (まだ彼の家に通ってた頃は車の中でこんな会話をした。 和泉「バスまだあるから迎えに来てくれなくてもいいのに」 彼 「何言ってんの〜俺がしたいからするし義務でしょ」 和泉「ぎ、義務かぁ・・・(汗」 釣った魚に餌をやらないってこういうことか)
ていうか、あたしって彼にとって人間なんだろうか。 いや、その前に彼はあたしにとって、人間扱いするに足る人間なのか。
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