CYMA’S MURMUR

2002年05月18日(土)   海外出張:帰国


これは、2007年の出来事ですが、
なんとなくリアルタイムの日記の流れに入れたくないため、
過去日記の部分に掲載することにしたものです。
実際は、2002年ではなく2007年の出来事となります。



今イギリスは19時。日本は夜中の3時。
眠るべきなんだろう。
でも眠れない。
照明が落とされた機内。

帰り道になってすら、気分が晴れないのだ。
今回の出張は失敗だった、そう思う。

家に帰れることはすっごく嬉しい。
誰が待っていてくれるわけでもないけれど、
私は私の場所が一番好きだ。

このPCのバッテリはもちがわるいから、
残された時間はせいぜい数十分。
その間にこの気持ちの悪さを言葉にしておきたい。

プロジェクトという観点から行くと、
この出張は成功だったろう。
今回の成果を元に私が今後の開発をうまくマネジメントできれば、
会社はそれを評価するだろう。

じゃぁ私の気持ち悪さは何かというと、
これほどのコストと時間をかけてイギリスくんだりまで
行く必要はなかったのではないか、というのが一点。

まぁそれに関しては責任は私ではなく、私の上の人たちにある。
でももし私がもう少しバックグラウンドに詳しくて、
かつ英語に堪能であれば、多分メールと電話でことは済んだと思うのだ。

最初から言っているように、私はこの出張に関して三重苦を抱えていた。
1.プロダクトを知らない。
2.Javaを知らない。
3.英語が苦手。

で、結論から言うと、2と3はあまり問題ではなかったのだ。
一番の問題はやはり1.。
知ってたらもっと対応のしようもあったと思う。
そういうもどかしさも大きかった。

しかしながら、多分会社はそんなこと考えてなくて、
だから最初は私をひとりで放り出そうとしたのだろうし、
そういうモノの考え方がすごく嫌。

つまり、元々私の思う「仕事をする最低限レベル」を満たしてないのに
作業を割り振った会社に対する恨み、というのかな。

同行したCは、もうこのベンダに6年も関わっていて、
主要なプロダクトも、それらの日本での顧客展開内容も全て把握している。
顧客の業界の動向にも詳しいし、業務内容ももちろんばっちり。

彼の英語は、仕事をするのに不自由のないレベルで、
でも、もしかすると発音は私の方がいいし、
難しい文章を言わせれば私の方が正確に言えるかもしれないし、
語彙だって私の方が多いかもしれない。

でもそういうことは問題じゃなくて、
彼は前提となる知識と情報、および話すべき内容と、
それをシンプルに伝えるダイレクトなパスを持っているということが重要なのだ。

それにひきかえ、私はほとんど事前情報も与えられないまま敵地に乗り込んで、
やりたいことを伝えてやりかたを聞く、という
最低限の作業はこなしたものの、
それじゃ私的にミッション・コンプリートというわけには行かない、ということ。
もちろん、会社的にはミッション・コンプリートなのだろう。

彼はコンサルタント(兼マーケッター)という立場で、
私は開発SEだから、そもそも拠って立つ所が違うし、
私がこの分野のコンサルタントに簡単になれるとは思わない(しなりたくもない)けど、
ただのデヴェロッパーという立場で放り出されるのも嫌。

この辺りは若干私のプライドというのも関係しているのかもしれない。

事前情報を十分に与えられないままだったことが不満なのだな。
そもそも、私は隣の部のプロジェクトのヘルプに入っただけだから、
プロダクトの知識がないのなんて当然なんだけど。
もちろん、与えられるのを待たずに取りに行け、というのも正しいし、
私がそれを怠った部分もあるけれども、
実は聞きたかったことの回答の大本は、
事前にもらったドキュメントの中にあったのだ。

それと我々の望むソリューションが結びついていると言うことがわからなかっただけ。
その辺りは、それこそCが事前にもう少しテレカンなんかで話を聞いていればわかったはずのことで、
だから私から見るとこの出張はかなり無駄が多かった。

個人的には会社のお金で旅行できてラッキーという気持ちも少しはあるけれども、
それよりも後味の悪さの方が断然大きい。

そういうことだな。
結論:Cが事前にソリューションの内容をブレークダウンできていれば、
多分私が欧州まで出かける必要はなかった。
付随する技術的な問題を英語のメールで問い合わせる程度ならば、
(もちろんそれだって私には荷が重いのだけれど)私にもできただろうし。

うん。
この会社って結構馬鹿なんだよなぁ。
むー。
エアがいくらかは聞いてないけど、
円安のご時世レートはまさに恐ろしい値を示していて、
ホテル代だけで20万円を超えている。
やっぱり無駄遣いだ。

同僚たちが次々海外出張に行くのを横目で見ながら、
「みんなすごいなぁ」って思ってたけど、どうもそうでもないらしい。
海外出張に必要なのは、英語じゃなくて、業務知識だったり、
業界知識だったり、要するに情報なのだ。

常日頃英会話教室なんかで、
「言いたいことを言えない」フラストレーションを経験しているけれども、
今回技術的な質問をする場においては、
「言えない」フラストレーションはほぼなかった。
もちろん、雑談とか別の流れでは「言えない」こともあったけれど、
技術に的を絞れば、文法的正誤はさておきたいていのことは言える。
そして伝わる。

問題は、その場でディシジョンできなかったり、
要するに考え方や知識や方向性やそういう問題。
もはや英語じゃない。

だからさぁ、私はエンジニアとしてもとても不完全なので、
どうにもしようがないのだよね。
アーキテクチャとか決められないし、
結局「要件」や「仕様」というものを決める程度のことしか出来ない。

だから、私が海外出張するという局面は今後もあまりないだろうし、
そしてあんまり行きたくもないなぁというのが感想。

私としても、もう少しフィールドを広げられれば嬉しいけれど、
今のところそうもいかないというか。

で、海外出張の肝は英語ではないのは確かなのだけれど、
英語がよくわからないフラストレーションは非常に強く、
そもそも私はビビリなので、そういうのもあって疲れてしまった。

ほとんど食欲を失うと言うことのない私が、
滞在期間中ほとんど胃に不快感を抱えていたのが象徴的だ。

英語はまぁがんばっていくしかない。
聞き取れれば、そしてもう少し典型的な場にスムーズに対応できれば、
私のストレスが減るだろう。

そう。コミュニケーションが円滑に行くこと、とかではなく、
私のストレスを減らすことが重要。

ストレスフリーというのは、私の目指すもののひとつだ。

ある程度のプレッシャを得て成長していくというのが、
モデルケースであるにせよ、私はそんなの嫌なのよ。
本当に私は弱いんだから。

で、問題は。
(私の責任ではないとはいえ)コストを浪費してしまった以上、
今後のステップはスケジュールを遵守して必ず成功させなければならないということ。
そのための私のプレッシャは結構大きいと言うこと。

そして、会社側はプロジェクトがうまくいけばこの出張も成功と考えるということ。
私のこういった不満に気づかないだろうこと(もちろん機会を見て意見はするが)。
そして、私を「とりあえず英語は何とかなるし、海外に放り出しても大丈夫な人」
とみなすだろうということ。

私馬鹿だな。簡単な文章に要約できない。
えーと。

1.本来は行かなくてもいいはずの出張だった(コストの浪費)。
2.自分は業務知識等がないまま出張に行く羽目になりそれがストレスだった。
3.それでも会社的にはこの出張を成功とみなすだろうし、私もプロジェクトの成功に尽力しなければならない(後半部分はまぁ当たり前)
4.一旦海外要員とみなされると、今後もほとんど情報がないまま飛ばされる可能性がなきにしもあらずでそれは避けたいのに難しいかも
(でも当面出張はまわってこないと思う)

ってあたりでしょうか。

一応来て良かったというポイントも挙げておこう。

1.自分の英語がどの程度使えてどの程度使えないかをビジネスの実践の場で知ることができた
2.イギリスの田舎を車で周れた
3.おいしい食事をご馳走になった
4.色々想定外のところで、いい買い物ができた

1.以外は即物的ですなぁ。

ま、月曜日から通常の暮らしに戻ります。
別の案件のバグ対応(!)に行かなきゃいけないし。
頭を切り替えてがんばろう。

今3:35。バッテリ残量は29%。そろそろおしまい。





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