蛇腹食堂
書人*なび太

   

  




ぶきっちょさん、現る。
2003年05月04日(日)
余所見をしていてうっかり「急須」を割ってしまった。

主に蓋から上部に掛けての損傷が激しい。
「コレは日記のネタになるな…」と思い、
悲惨な事故現場を写真に収めておこうとしたが、
そんなことをしていたら母にぶっ飛ばされそうなので、
止めておいた。

母の執拗な叱責を受けつつ、
とりあえず修復作業を開始。

まずは自分の机の中で発見した「セメダイン」を使ってみる。
当然ながら下方向の重力に負けたパーツは、
何やら卑猥な糸を引きつつ、ぽとりと落下した。
第1次作戦失敗である。

独特の○ンナー臭を嗅ぎつけ、
早くも逆上し始めた母を尻目に、
即効性超強力接着兵器
「ア○ンアルファ」
の投入が決定された。

弾丸を思わせるストイックな容器がまず素敵である。
容器後部の蓋を開けると、
中からはさらに怪しげなチューブ(?)が現れる。
この「二重構造」がまたスパイっぽくて、
男心をゾクゾクとくすぐる。
いざ、チューブ開封。
これとて「○ロンアルファ」はただでは終わらせない。
蓋などないのだ。
画鋲風の専用開封器を用いねばならない。
昔は何の変哲もない「画鋲」そのものが入っていたが、
恐らくケガ人続出だったのであろう。
「鋲ガード」が付いて人に優しくなったが、
そもそも「アロ○アルファ」とは、
「女子供はすっこんでな」的ニヒリズム漂う商品なのだ。
何せ「アロン○ルファ」である。
ちょっと間違えれば「バロンアロハ」だ。
「アロハ男爵」なのである。素敵すぎる。

開封前なのにえらい長い前置きを置いてしまった。

さて、緊張の開封。
子供の頃は緊張しすぎて何度も失敗し、
中身の接着剤を溢れさせたりした。
しかし時は経ち幾年、もはや私も大人。
そんな過ちは犯さないのである。

専用開封器を用い、
見事に液剤噴出口を設けた私は



母:「なび太!こぼしたお茶もちゃんと拭いといてよ!」
なび:「あ、はい」



見事に液剤を溢れさせはしたが、
とにかくバラバラになった急須の接着作業を開始した。

「ぬははは、快哉っ!!」

面白いようにパーツ同士がくっついていく。
さすがアロハ男爵。
凄まじい接着力である。
しかも要する時間は僅か数十秒。
セメダインの○ンナー臭とはまた違った、
独特のかほりもまた芳しい。

あまりに楽しいので、
つい鼻歌など交えつつ作業を進める。
無残に砕けた急須が生来の姿と役目を取り戻しつつある。
まさに感無量。
この急須を、
薄ら笑いを浮かべつつ肘で叩き落としたのは自分である、
という事実さえ忘れる喜びである。
最後にこれまた再生した蓋を乗せる。
さぁ、これでついに完成。
手放しで喜びたいところであったが、
手を放した瞬間、
完成したはずの蓋から何かが「ぽんっ」と外れた。



指とパーツが接着されていた。




18歳の夏、
最後にプラモデルを組み立てて以来の屈辱である。

カリスマ接着技師の道は果てしなく遠い。




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設計*しゑ(繊細恋愛詩)
感謝→HP WAZA !
素材著作権且感謝→M3