蛇腹食堂
書人*なび太

   

  




迫害装置
2003年05月13日(火)
20XX年。
その店は生まれるべくして生まれた。
薄暗い階段を下りると、
半地下にある重い鉄扉が、
入店しようとする客を一時的に威圧する。

店内には低く流れるBGMと、
もうもうと立ち込める煙。
壁という壁を埋め尽くすように設置された、
昔懐かしい自動販売機。
店の一角には、高齢の客を喜ばす為か、
ガラスケースに囲まれた小さなカウンターの中で
老婆が半分居眠りをしながら店番をしている、
昔ながら販売形式を取るコーナーまで設けられている。

客達はそれぞれに物思いに耽ったり、
愛読書を片手にコーヒーを啜ったり、
思い思いにその空間を満喫している。

彼ら彼女らの唯一つの共通点。
それは「喫煙者である」という事。

そう。
そこは、
禁煙家(?)である首相号令の下、
全国に隈なく「禁煙法」が敷かれた中で、
ひっそりと非合法営業を続ける、
愛煙家御用達「喫煙喫茶」の一つ、「喫茶LARK」。
マスターは今日も苦みばしった顔でコーヒー豆を挽きながら、
愛用のジッポでマイセンに火を付ける…。





駅で灰皿を求めて彷徨うサラリーマンを見ながら、
ふとこんな設定が頭に浮かんだ。
そんな世のなかは、なんだか嫌だなぁ。




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設計*しゑ(繊細恋愛詩)
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