私が仕事で関わっているのは 93歳の女性です 初めてであった頃から1週間と少しですが 日に日に 体力の低下を感じるのです 昨日は声をかけてから 車椅子に移動するまで 30分近くかかり とにかく眠くて仕方がない 頼むからこのままに・・・そういう感じでした 毎日1時間とはいえ 高齢なだけに 疲れも出てしまうのかと 簡単な会話をしながら 迷いが出るようになりました 熱もなく 申し送りもなかったので なんと言われようと 離床させようかとも考えましたが 焦らずに1時間の間に 車椅子に乗れればいいとしようかと 考えがまとまった頃 看護婦がカルシウム注射をしに 居室に入ってきました 様子を話し相談しましたが 車椅子に乗せてください という返事でした 声かけをしながら移動 車椅子に乗ると 少しは目が覚めたようでしたが 車椅子上で 体が支えきれずに傾きます まっすぐに保とうという気力がありません とにかくラウンジへ移動して 水分補給のために お茶を差し上げるのですが 口元に運ぶ前にこぼれます 明らかに一昨日と昨日では 差がありました
そして 今日・・・ 目ははっきりと開いて 意識は覚醒しているのですが 私を警戒するような表情で見つめます とにかく安心してもいい相手であることを 伝え続けます そして離床 車椅子へ移動です 途切れ途切れに出る言葉は つながりがなく していることとの関連性もありません 昨日よりも体が傾き 戻しても戻らない状態です この3日にして これほど落ち込むというのは この1時間が それほど疲れさせているのか それとも 体のリズムや 季節的なことからなのか わかりません
私が家族だったらどう思うだろう・・・・ 祖父母のことを思い起こします ゆっくりさせたいと願うだろうか 昼間は起きているように 体のリズムを崩さないように 働きかけをしていくだろうか 私はただ与えられた仕事を全うさせようと それだけを考えていないか この女性の残り少ない時間に 何を望めば良いのでしょうか 人らしさを残した生き方か わずかな命を大切に灯すことか それは誰の意志で決められることなのでしょうか・・・ 施設側からは 体が慣れてきたら 車椅子から立位への リハビリを始めるようにと 話がありました とても・・・無理です 昨日今日の様子が続くようなら 無理かもしれないことを伝えよう・・・でも・・・ いつか・・・きっとリハビリができる それともこんなわずかな希望を捨てずに いるほうがいいのでしょうか・・・
希望を持ちたい そうすれば今の行動に意味がもてるから そうだ 近所にある有名な「枝垂桜」観にいくことを 当座の希望にしよう そのための準備のために 車椅子に移動することをすすめよう
この女性の最後のときに 関われること この女性が最後に私と関わってよかったと ほんの少しでも 感じてもらえるよう 前を見て進んでいかなければ・・・です
桜
美しい桜を眺めると
来年もこの桜を観ることができるのだろうかと
感動に輝く心の裏に
恐ろしく寂しい黒い闇が
薄桃色の心に射す
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