風邪声ですが 仕事に行きました Kさんは相変わらずの咳で 時々声を上げています 便が出た後らしく 部屋中臭いがしていたので 窓を大きく開けました その私の様子を薄目で見ています 様子をうかがって どう対応しよか決めているようです 『おはようございます』 「・・・・」 薄目を開けて焦点を合わさずに 口をあけています (瀕死の演技ね・・・) そうなのです このところKさんは 演技派になってしまったのです 言葉が聞き入れられない分 演技で表現するようになったのかもしれないですね 『Kさんおはよう 私が見えるかな?』 「・・・・」 薄目で確認しているのを知っていたので ちょっと笑ってしまうのをこらえます 手を見ると 便がたくさんついています 『これが臭いのか・・・Kさん 爪を切って手を洗いますよ』 「・・・は・・・はい お願いしますね」 (やっぱりわかってるw)
すっかりきれいにして りんごを摩り下ろして口に運ぶと いつもなら美味しいねぇ と食べるのですが 舌で押し出します (気に入らないことがあったな?) 娘さんが持ってきてくれたりんごのこと お母さんを気遣っていることなど話しながら 口に入れても絶対に食べないのです 『今日のKさんは 目を開けてみてくれないし りんごも食べてくれないし 私の話も聞きたくないようだから そろそろ失礼しようかナァ・・・』 というと 驚いたように 「食べるよぉ」 と 目をパッチリ開きます 笑ってしまいました 「死んじゃうよー」腹を立てたように叫びます 『そうだねぇ 何も食べずに飲まずにいたら それは死んじゃうねぇ』 いつもと違う厳しい言葉に 何か気付いたように 「あんたが食べさせるものなら何でも食べるよ」 『うれしいなぁ りんごは?』 「すっぱくて嫌」 『そうだったんだ・・・ごめんね ヨーグルトは?』 「美味しく感じないの」 『そうだ カステラを小さく切ってあげる』 小さくちぎったカステラを口に入れると おいしそうに食べます 「私の言うことを誰も聞いてくれないの」 『私が聞くよ 私が聞きに来ているでしょ?』 「あぁぁぁぁぁぁぁ」と 泣きます
何だか子供になってしまったKさんが かわいくて仕方なく見えてきます しっかりと私を見た顔を両手で挟んで 『あぁっ やっと私を見てくれた 嫌いになっちゃったのかと思って心配しちゃったよ 明日も来ていい?』 笑顔で嬉しそうに頷きます 少し時間が過ぎてしまいそうでしたが 髪をなでながら『いいお顔になったよ』 と しばらく傍で話しかけました 心の縺れがほどけたものって 何だったのでしょうか
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