あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 六月の音階 2002年07月08日(月)


雨を招く蛙の声と
紫陽花の秘め事に溺れながら
六月は薄れていった
陽が、熟れてゆく。天頂で。

思い出す
何度でも思い出すだろう
蛙の喉の薄い皮膚の
張り詰めるたびに透ける
白さ
見えそうで見えない
その向こう側の秘密
思い出すだろう
きっと思い出すだろう
指を繋ぐたびに
湿り気がはりついて
一つに溶ける日々を
いつだって

紫陽花を枯らす
白い光に目を灼かれても
鼻先に残る湿り気を辿って
いつか
冷たい水を共に浴びよう
あなたと
あの空の下で


過去 一覧 未来


My追加
 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe