あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
(その4) 2004年09月15日(水)


雨はいよいよ遠ざかり
ひび割れは深くなっていった
ぱちぱち と裂けてゆく音がする

光よ と誰かが叫び
続いて おめでとう
母の声がした
おめでとう、お前が誕生したわ

確かにひび割れを押しのけ
生まれたのは私だった
土をこねて作られた肌は
水をもらえずに乾いていたけれど

ぱちぱちと
まだ音は続いている
あれは拍手の音なのよ
母は言うが
私は殻の割れる音だと思う

誰かがまた
水を と叫べば
次の私が生まれてくるのだ

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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe