デコラのひとりごと。
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2002年08月15日(木) 精霊流し。

ドンドンパチパチと、花火の音が聞こえていた。
お盆に墓の前で花火をするという風習が珍しいことだと
知ったのは、故郷を出てからのこと。
それでも私にとっては、懐かしく馴染みのあるこの光景。
ドンとかまえた大きな盆提灯に火を灯し、
夏の夕暮れ、まだうす明るい空の下、小さな花火大会が催されるのだ。

それから一度家に戻り、精霊船を運び出す。
1m大くらいの小さな船に小さな提灯をいくつか下げて、
果物や亡くなった人の好きだったもの等を乗せて海に流す。
昔はそこらへんの海に流していたものだったが、
最近は環境がどうのとうるさいらしく、沖まで出なければならないそうだ。
そこで我家は、業者の出すフェリーに乗ることにする。
フェリーに乗ったのは、うちも含めて50隻ほど。

沖に出た頃にはもう空も暗く、見上げると満天の星。
提灯と線香に火をつけて、次々と精霊船が暗い海に流されてゆく。
それは、幻想的でどこか物悲しく、そして美しい光景だった。
父の船は、先に流した船よりも早くグングンと我が道をゆくふうに
進んで行き、それはとても彼らしい姿でもあり家族の微笑を誘った。
私たちは、いつまでもいつまでも、お父さんの船を見送った。





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