台所のすみっちょ...風子

 

 

カナバカリ。 - 2004年09月16日(木)

私がニ十代の頃は決して仲が良いとは言えなかった父と娘だが、

設計の仕事一筋で私や妹を育ててくれた父を、私はかなり尊敬している。

だから、今回のマンション選びでは何かと彼に相談をすることも多い。


おとといも彼に電話をした。ちょっと気に入った物件があったからだ。

「このマンションどう?」

大まかに説明したあと聞くと

「とにかくカナバカリをそこから入手しろ!」と不思議な答えが返ってきた。

「カナバカリ」とは、どうやらそのマンションの詳細な構造断面図

のことらしい。

断熱材がどういう張り方をしているとか、床の構造はとか・・。


「カナバカリ」なんて耳にしたこともない。

どんな漢字?カタカナ?と聞くと父も忘れたと言い、

「う〜ん、今の営業マンにはカナバカリくださいなんて
 わからんだろうな〜」

と呟き、英語の言い方もあったハズでそっちの方が分かりやすい、と私に言った。

結局、その言葉も父は忘れていて分からずじまいだったのだが、

数分後、わざわざ電話をくれて、それが「ディテール」だということを

教えてくれた。

そして、お礼を言って受話器を置いた数分後にまた父からの電話。

「いや〜、さっきのは間違い。本当はデテールだぞ、デテール」


それは聞いてる私としては、例えば「ディスコ」と「デスコ」の

発音の違いでしかなかった。

けれど、父にとっては娘に対しての一生懸命な親心。

私は再びお礼を言った。

父はすごくうれしそうで、上機嫌で最後にこう付け加えた。

「それからなぁ〜、お母さんは今、真っ裸で目の前を通って
 風呂入りに行きました〜」



お父さん、それはマンションとはぜんぜん関係ない。


おしまい。


...




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