2002年06月22日(土)  買う気力 萎える店員 ここにあり



今日は朝から、サリーを家に残して、サリーのママと2人で、
寒村から30分ほど離れた、カナーリ大きなショッピングセンターへ
買い物に行きました。

サリーのママは新しいメガネを探していて、私もあちこち見て回りたかったので、
午前9時半〜12時まで別行動することになりました。

前にも日記に書いたように、サウスオーストラリアは地中海性気候。
なので、冬(つまり今)は冷たい雨がよく降る。
実際に、毎日のようにシトシトザーザーと雨がよく降っている。
なので、私はこの機に雨用の新しいブーツを買おうと思い立ち、
靴屋めぐりをすることにしました。


靴というのは試着してみないことには始まらないので、
目ぼしいものを試着してみるために1件の靴屋に入ってみました。

すると、獲物を見つけたハイエナのようにすかさず近づいてくる女性店員A。
歳は24・5歳ごろ。左耳の上には、
なぜかでかい能天気な南国風の赤い造花をつけていて、
ドラッグでもやっているDJのような変なテンションと身振りで、
「何を探してますか♪」と。

私の足は22.5センチ寄りの23センチで、しかも幅も厚みもないので、
デカ足大国オーストラリアで靴を探すのは至難の業。
なので、ここは商品知識の豊富なオーストラリアの店員にお任せすることにして、
「サイズ」「ブーツの長さ」「雨用」という情報を伝えて、私は椅子に座りました。
「任せてよ♪」とDJばりに身振りつきで言って、店員Aは裏に消えました。

しばらくして現れた店員Aの手には、かなりドレッシーな靴が握られていました。
私は日用使いにしたかったので、試着ぜずに、
もちっと頑丈で歩きやすそうなヤツをお願いしました。
再び、「任せてよ♪」とDJばりに身振りつきで言って、店員Aは裏に消えました。


次に現れた店員Aが持ってきたのは、どっからどう見てもシニア用の紐つきブーツ。
とりあえず試着してみたけど、やっぱりどっからどう見てもシニア用。
「この紐のあたりがファンキーだよねぇ♪」と、店員A。
この紐のあたりがオバチックだと思うのですが。

「形があんまり好きじゃないです。もっと若々しいのはありますか?」と、私。
三度(みたび)、「任せてよ♪」と言って、店員Aは裏に消えました。


次に現れた店員Aの手には、どうみても私には大きすぎる靴が握られていました。
「これメンズなんだけど、一番小さいサイズだから大丈夫♪」と、店員A。
なにが大丈夫なんでしょうか。見てください、ブカブカですよ。

「大きすぎます」と、私。
四度(よたび)、「任せてよ♪」と言って、店員Aは裏に消えました。


次に現れた店員Aの手には、なかなかよさそうな靴が握られていました。
「これ子供用だけど、ぴったりだと思うよ♪」と、店員A。
試着してみると、それでも全然ブカブカでした。靴の中で私の足が泳いでいます。
「まだ大きいです」と、私。「え? そんなはずはないんだけど」と疑う、店員A。

靴の上からつま先部分をぎゅうぎゅう押してみて、
本当にブカブカだということを知ると、
五度(ごたび)、「任せてよ♪」と言って、店員Aは裏に消えました。


しばらくして現れた店員Aの手には、さっきのワンサイズ下の靴が握られていました。
「絶対、今度はぴったりだよ♪」と、店員A。
試着してみると、長さは丁度よくても、幅と厚みが全然ブカブカで、
余裕がありすぎます。
「足にフィットしてないみたい」と、私。

靴の上部の余った革部分を確認して、「これで大丈夫だよ♪」と、店員A。
全然大丈夫なんかじゃないですよ。「いや、気になります」と、私。
六度(むたび)、「任せてよ♪」と言って、店員Aは裏に消えました。


戻ってきた店員Aの手には、
スキー靴の下に履くようなものすごい厚さの靴下が握られていました。
「これを履けば絶対大丈夫だよ♪」と、店員A。
こんな靴下持ってないよ、と思いながらとりあえず試着してみました。
私の足はどこまでも小さいようで、それでもまだ歩くとカポカポします。

「なんかまだダメみたいです」と、私。
「え?! 大丈夫なはず!」と、店員A。「ピッタリしたのが欲しいから」と、私。
「もういいです」と言いかけた私の言葉をさえぎるようにして、
七度(ななたび)、「任せてよ♪」と言って、店員Aは裏に消えました。


戻ってきた店員Aの手には、さっきと同じ靴下がもう一組握られていました。
この死ぬほど分厚い靴下を2重に履かせようという魂胆なのでした。
人形のようにされるがままになって靴下を履かされ、
ギブスをつけたように膨れ上がった私の足を
もはや靴にねじ込むことはできませんでした。

「本当にもういいです」と、私。
「いい考えが浮かんだわ♪」と、店員A。ろくでもない考えの予感がします。
八度(やたび)、「任せてよ♪」と言って、店員Aは裏に消えました。


戻ってきた店員Aの手には、靴の中敷が握られていました。
それを靴に敷こうとするのですが、なんせ小さな子供用の靴なので、
全然靴にフィットしていません。
それでも無理やり靴につっこみ、差し出す店員A。

すでに、私の購買意欲はすっかり萎えていたので、
「また来ます」と言って立ち上がりました。
それでも、「21日以内なら返品できるよ♪」と、背後で食い下がる店員A。


もう、グダグダじゃないですか、あなたの接客。
「あなたの欲しい靴は、うちにはありません」って言ったらどうですか。
正直、あんた商売ヘタですよ。
だって、私もう2度とここへは来れないじゃないですか。

もはや、私はどこの靴屋に入る気力もなく、
手ぶらで巨大なショッピングセンターを後にしたのでした。


つづく。


日記のもくじ昨日の日記明日の日記
たまり |mailHP