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キッチン。それは主婦の皆様にとっては、日々の生活の中でも非常に重要な位置を占める設備でありましょう。 それゆえ、リフォームであろうと新築であろうと、奥様の意見が一番強く主張されるばしょでもあります。 古くて低い流し台で、日々苦労をしている奥様方は夢を見ます。 「新しくてピカピカの広いキッチン、食器洗い乾燥機をつけて、キッチンの前には花を飾れるように出窓も欲しいわね」 などと。 しかし、一度でもキッチンの下見にショールームへ行った方はお分かりでしょうが。 キッチンほど選択肢が豊富で、失敗例も豊富な設備器機は他に無いのであります。 そして、実際に調理する動作をしてみない限り、カタログを見ているだけでは本当の使い心地はわからないのであります。 私自身が施工した工事での、忘れられない失敗例を一つ、今夜はネタがわりにお話しましょう。 つい数年前まで、キッチンは60センチ以下の奥行きが普通でした。 システムキッチンではない場合、殆どのお宅が55センチの奥行きのものを使用しておられます。 で。 この55センチ幅の場合、キッチンの正面が出窓であっても、簡単に手が届きます。ですから、実際に30センチくらいの奥行きの出窓を正面につけ、そこをステンレス貼りにして、鍋やボウルを置く台にしているお宅が多かったのです。 しかし。 現在のシステムキッチン、ほとんどが奥行き65センチ。 古い出窓の状態のまま、現行のシステムキッチンをつけるとどうなるか。 キッチンの奥行き65センチ+出窓の奥行き30センチ=95センチ。 キッチンの縁から出窓までの高低差も考えて、約一メートルの距離がある場所に、平均的な身長の女性の手が届くのか? ……実に苦しいのであります。 掃除するのも一苦労ってな事に。 いえね。せっかくひろい出窓があるんで、食器洗い乾燥機を出窓の上において使いたいって希望の御施主さんがおられまして。 そのための電源と、水洗を、出窓の部分にとりつけたんであります。 しかし……奥様の背がかなり小さめだったこともあって、届かない(涙) そもそも食器洗い乾燥機をそこへ置くのが大変。 そのお宅は更に悪いことに、L型キッチンの両方の面に出窓がありましてね。 窓の開け閉めは不自由だわ、奥まで綺麗に掃除するには台を用意して身を乗り出さないと手が届かないわと、駄目だらけ。 さらに。L型キッチンというのは、一見ワークスペースが広く取れて使い勝手がよさそうなんですが、実はあの一番奥のコーナーって、デッドスペースだったりするんです。 だって。計算してみてくださいよ。一辺が65センチの正方形の、対角線の長さは……? ねえ。 90センチを越えちゃう場所へ、手前のコンロに火がついている状態で、手を伸ばせますか? 大変でしょ? 完了後しばらく経ってメンテナンスに伺ったときの、奥様の渋い顔が忘れられません。 いやだって、私がその設計をした訳じゃあありませんし(涙) 設計士と相談のうえ、奥様のつよーーーい希望があって、L型キッチン入れたんですしぃ。 ……未だにそのお宅の近くを通ると、胃が痛くなる雨宮なのでありました。 リフォームをお考えの皆様、キッチンだけは絶対!ショールームに行って現物を触ってから決めましょう。 カタログを見て、イメージだけで物を決めると絶対後悔しますって。 料理をする動作や、鍋を出し入れする動作をして、吊戸棚はちゃんと手が届くのか開け閉めして、高さもちゃんと合わせてもらいましょう。 じゃないと。 件の奥様のように、毎日料理をするたびに、不満を募らせ、イライラを募らせることになってしまうかもしれません。 メンテナンスに来た業者さんに、八つ当たりをして恐れられてしまうかもしれません。 平和な日々のためにもっ。ちょこーっと頭の隅に置いておいてくださいませ
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