戯言。
2003年11月25日(火)  003.間[LOTR/レゴフロ]

裂け谷を出発した時は、いちばん前とほとんど最後尾

最初の夜は人間2人とホビット3人の向こう

光あふれる丘の中腹では人間とドワーフ越しに姿があった

過保護な野伏の目を掻い潜り、ちょっとずつ間を詰めて

川を渡る橋の上では、ホビット2人ぶん

木漏れ日が美しい森の中で、やっと邪魔者が無くなった

半月後には敬語も抜けて、本当の笑顔を見せてくれた

不寝番の傍ら夜空の星を見上げ二人寄り添い
いつしか眠りに落ちた君のぬくもりを感じた

闇に呑まれしモリアの坑道
君が彼の名を口にしたあの時
徐々に縮まっていた私たちの間の距離は、一瞬にして広がった

神秘の森で、また少しばかり近づいたと思ったのに

大河のほとりでは、いくら間をつめても逃げられた

そしてアモンヘン
死に直面し途方にくれた私を絶望の淵に叩き落したのは
途方も無い程に広がってしまった、君との間の距離だった


更に遠のく私たちの距離
今私は、古より在る、古き森にいる


なのに不思議だね、君の姿が見えないのに不安は全く無い
何故だか分からないけれど、君をすぐ近くに感じるんだ


今だからこそ分かることがある
私たちの間の距離は、とっくの昔に無くなっていた

君は敏いようで鈍いからまだ気付いていないだろう

だから、早く帰っておいで
君が帰ってきたら、まずは思い切り抱きしめて
それから教えてあげよう

どんなに遠く離れていても、私たちの間に距離は無いんだ、って

そう聞いた瞬間、ちょっと呆けたような顔をしてから
その蒼い瞳に私を映して微笑む君の姿が目の前に浮かぶんだ

そんなことすら分かるほどに私たちは近くにいるんだよ、愛しい人


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はい遂に手を出しました、100のお題。
他ジャンルでも書きますがまずは指輪。
妄想甚だしいことこの上無し。


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