戯言。
2005年10月16日(日)  曹丕少年の朝(捏造)。

曹丕少年の朝は、それなりに早い。

「子桓様、起きる時間ですよ」

彼の護衛をつとめる青年は、毎朝律儀に起こしに来てくれる。

「........」

が、最初の一声で起きた事は一度たりとて無い。

「子桓様」
「........しりゅう」

これは護衛の趙雲しか知らないことだが、曹丕少年はとても寝起きが悪い、というか低血圧だ。
その癖見栄っ張りなので、朝が弱いことが(特に父である曹操に)露見しない様、本来起きるべき時間よりも随分早く起きて意識をはっきりさせてから人前に出ることにしているらしい。

「子桓様、もう起きないと」
「........................」
「子桓様、二度寝はしない」
「.......あと一刻」
「駄目です。いい加減に覚悟を決めなさい」

そう言って、いつもの様に掛布に潜り込もうとする曹丕少年を引っ張り起こす。
寝台に座る彼は、日頃の小生意気な態度を微塵も見せず、まだ夢見心地なのか目をこすりつつおとなしくしていた。

それを横目で見つつ、丁度良いタイミングで運ばれてきた湯を使って熱い茶を淹れ、曹丕少年に手渡した。
毎日のことなのですんなり受け取り、口に運んで少しづつ啜る姿は年相応で可愛らしい。

熱い茶で少し目が覚めてきたのか、飲み終わるともそもそと動き始める。
履物を突っかけてぽてぽてと歩き、顔を洗う。
その間に趙雲が用意した服を着た辺りで半ば覚醒。
そして再度淹れられた茶を手に椅子に座り、後ろから趙雲が髪を梳いて一纏めにする。

「はい、できました」
「ん」

それでは、と退出しようとする趙雲を呼び止めるのも、いつものこと。

「子龍」

こちらを振り向き、背の高い趙雲を見上げる曹丕少年の為に屈んで視線を合わせる。

「はい?」

まだ少し眠そうな顔で、ご挨拶。

「おはよう」
「はい、おはよう御座います」

ぽん、と曹丕少年の頭を撫でて退出する。
朝食を終えて次に会うのは一刻後、その頃には皆が知る通りの小生意気な曹丕少年が出来上がっている筈だ。

そうでない素の曹丕を知る護衛の青年は、この朝のひと時をとても大事にしているらしい。
そしてこの習慣は、曹丕少年が大人になっても続いたとか....

*******


なんだこれは。
ほのぼのーとした曹丕主従(捏造)を書いたつもりが、人格破壊を起こしてしまったぞ。
でも殿は寝起き悪そうだとは思うんだよね。
実物は趙雲がいないので、根性で起きてたと思うよ。
ううっこゆネタは本来は趙雲&阿斗でやるべきなんだろーけど、どこをどうやっても趙雲と曹丕になってしまう脳を持つワタシにはそれは無理....


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