ねぇそうる。久しぶりにあんたの夢を見た。

夢の中であんたは。あたしに背を向けて走ってた。
息を切らして。必死になって。あたしはあんたを追いかけてた。
あんたは。あたしを振り返りながらもその足を止めなかった。

散々走るうちに。崖の上みたいなところに来て。
あんたはそこで初めて足を止めて。あたしの方を向いてくれた。
首をちょっと傾げて。あたしを覗き見て。見透かしたように笑った。
そして。そのまま大きく両手を広げてあたしを呼んだ。

駆け寄って飛びついたら。勢い余って崖から２人で落ちていった。
落ちていく間。あんたはあたしをしっかり抱き締めてくれた。
不思議と恐怖はなくて。空気に溶けるような。そんな感覚で。
体に感じるのは。柔らかい風と。あったかいあんたの体温。

満たされて涙が出た。涙はそのまま海に溶けた。
２人で深く沈んでいきながら。それでもあたしは幸せやった。

聞こえてきたのは久しぶりの「AQUALOVERS」。

ねぇそうる。なんて怖い夢やろうね。
でもなんて幸せな夢やろうね。
あんたとならば。あたしはきっとどこへでも行ける。
あんたがいれば。あたしはきっとどうなってもいい。
海の底に沈んでも。泡となって溶けても。きっと大丈夫。

ねぇそうる。これって怖さと幸せと。どっちが勝ってる？