夜中0時過ぎ。そうるから電話があった。
仕事で終電を逃したから家まで歩いて帰るのだと言う。 国道に沿って約1時間。歩いてるとこやねんーと言う。
耳を疑う。突然こんなことをやらかす。わけの分からんそうる。
もちろん猛反対するあたしに対して。 仕事で疲れたから気分転換したいとか。 最近運動不足やからちょうどええねんとか。 なんやかんやと理由をつけて譲らんそうる。
気持ちは分からんでもないけど危なすぎる。 最近いろんな事件だって多いのに。ありえへん。 この物騒な時代にそんなことをやらせるわけにはいかへん。
「ちょっとほんま。お願いやからタクシー乗って。」 「タクシー乗ったら今日の稼ぎがパーや(笑)。」 「危ないって。おとなしくお金使ってよ。」 「危なくないって。めっちゃ明るいし。」
なぜかテンションの高いそうるは。ずっとこの調子やった。 あまりにも無頓着なそうるに。だんだん腹が立ってくる。 だいたいヤツには危険予知能力が足りなさ過ぎる。 自分は絶対大丈夫とか思ってるとこが多すぎる。
そんなこと言っておきながらバイク事故ったりしてるがな。 何が大丈夫やねん。全然大丈夫とちゃうくせに。 自分だってその他大勢と同じなんやって思わなあかん。 何か起こってからやったら遅いねんで。
説教くさくなってるあたしに。そうるもうんざりし始める。 電話越しにもその空気が伝わってくる。そしてあたしも苛立つ。 「もー電話せんかったらよかった。」って言われて。 「ほんならせんでええがな。」って言い返してしまう。
ちっちゃなちっちゃなこと。とるに足らんこと。 たぶんあっという間に忘れられること。 でもあたしの中に。小さなささくれを確実に残す。
心の表面がチクチクしてる。自分でも分かる。
ねぇそうる。あたしちゃんと知ってるよ。 キレイなだけじゃ生きていけんよね。 傷ひとつない完璧なものをキレイとも呼ばんよね。
あんたとあたしの間にも。ほんまにいろんなことがあって。 大きな傷から小さな傷まで。たくさんあたしに残ってる。 あんたにだってそうやろ。そーゆうのがあるやろ。
でもな。そーゆう傷って後になれば認められるけど。 新しいうちはだいぶしんどい。それは大小あんまり関係ない。 よくあるやろ。指先のちっちゃい切り傷ほど痛いってやつ。
こんな勝手なコやったかな。 こんな強情なコやったかな。 今日のあんたを見てそう思ってしまった。 そしてこの程度のことにひっかかるあたしを情けなくも思った。
心の表面がチクチクしてる今のあたしには。 どんなちっちゃなことでも簡単に引っかかっていく。 そしてまたあたしの心に傷をひとつ残していく。
とても愛しいけど。とても疲れる。あんたへのこの感情。 ↑結局のところ勇気がないだけなんや。しょぼいぜあたし。 |