【シュークリーム作成日誌】

2002年10月14日(月) SSS#30「瀬戸口×速水 ラブラブ?」

今夜は友人の結婚披露宴に出席します。大学の同窓である彼は物凄くカッコ良い人だったので、正装姿が今から楽しみですv


話は変りますが、神矢は技能習得資格習得のため、予備校に通う事になりました。毎週日曜日と祝日は学校の日です。
でもサンドイッチ☆タンゴ(※11/3、大阪にて開催されるセトハヤオンリーイベント。topページ参照)のお手伝いのためと、祖父の一周忌のために11月は3日も休んじゃうので、振替えで土曜日も結構行く事になるかもです。
私は一体いつSS書いたり、サイト管理したらいいんでしょうか(苦笑)
一次試験が来年の6月。二次試験が9月末です。大体一年近くの戦いになりますが、地道に頑張ろうと思います。
昨日と今日、早速授業に出てきました。きちんと勉強するなんて学生の頃以来。結構面白かったです。
でも、ちょっとでも判らない所が出てくると、苦痛になっていくんだろうなあ…。
頑張って予習復習しないとv(←ちょっと若返った気分/笑)


まあ、そんな感じでわりかし多忙っぽくなってきた神矢ですが、今、いい感じでスランプです(謎)
本編…といいますか、きちんとサイトにアップ出来るようなSSがさっぱり書けませんで。
リハビリと称して、こうしてSSSを頻繁に書きまくっているのですが、なかなか復活しません。

これは同盟発足作業の方を頑張れとのセトハヤの神様のお告げでしょうか(←絶対違う)
CGI苦手…。








【happyness】






うららかな晴れた昼下がり、穏やかに流れる時。
午後の授業はサボる事に決め、可愛い恋人と午後のお茶と洒落込む。
食堂の窓からは、広いグランドを挟んで、向こう側の桜並木が滴るような新緑で目を楽しませてくれていた。
目の前の恋人は、先程から熱心に料理の雑誌を読みふけっている。
自分のために和食のレシピを増やすのだと言ってくれた彼は、折れる程抱き締めたくなるくらい、とてもとても可愛かった。

―――キス、したいな…。

ぼんやりと速水の小さな顔の下方、唇に視線を注ぐ。
薄く小さいのに、どこかふっくらとして柔らかそうで、紅を差している訳でもないのに、淡く綺麗な桜色の。
ぼうっと見つめていると、視線に気付いた少年は照れたような微笑を返してきた。
無邪気な笑顔に後ろめたくなり、慌ててこちらも笑顔を取り繕う。

「コーヒー、もう一杯飲む?」
「ああ…すまんな」

何となく出てしまった謝罪の言葉に、速水は笑って首を振る。
機敏な動きで調理台へと向かう華奢な後ろ姿を見送り、瀬戸口は溜息を付いた。
今の自分は、もしかしてかなりもの欲しそうな顔をしていたのではないだろうか。
速水と恋人になって、もう二週間も経つのだ。
二週間も経つのに。
速水のキスは、どんなに甘いだろうか。
…瀬戸口は知らなかった。



***



意外と愛の伝道師は本命には奥手だった。…と言う理由ではない。
瀬戸口は自分は手広くよろしくやっているくせに非常に独占欲が強く、従って速水厚志という少年を特別だと認識してからは、彼を出来る限り側に置きたがった。
側に、出来るだけ近くに。
出来る事なら彼を自分だけが知る場所に閉じ込めて、朝も昼も夜も愛し合えたら…などと、かなり妄想じみた考えまで抱くほど。
そんな彼が速水にキスも出来ずにいるのには理由がある。
…そういう雰囲気にならないのだ。
笑うなかれ。雰囲気とは大事な物だ。
幸せな滝川と違って、瀬戸口はその場の雰囲気を自分色に染め上げる事すら可能な、何処に出しても恥ずかしくない立派なホストNo.1…いや、愛の伝道師である。
そんな彼に雰囲気を無視して欲望のままに行動するなどという、カッコ悪い真似が出来るだろうか。
いや、出来ない(反語)。
恋人同士がふたりっきりでいれば、自動的に辺りの空気をピンク色に染め上げるようなBGMが何処からともなく流れてくるのが普通である。だが、この恋人達だけは、世界の摂理から外されているらしい。
速水と瀬戸口がふたりっきりで居る時の雰囲気は、「明るい雰囲気」に保たれていた。
常に。

(俺ってもしかして、恋人扱いされてないんじゃ…?)

瀬戸口が遠い目をしてしまうのも、無理はない事かもしれない。



***



しゅんしゅん、とお湯が沸く音がもう少しだけ続いたら火を消そう。
沸かしすぎると水の中の酸素が完全に抜けてしまって、コーヒーが美味しく煎れられなくなってしまう。
コーヒーフィルタをメーカーにセットし、速水は挽いた豆を取り出す。
合成物だったけれど、良い匂いのコーヒーだった。瀬戸口が喜ぶだろう。
速水の口許が自然にほっこりと微笑みの形になる。

(今日は、ずっと一緒に居てくれるのかな。そうならいいな…)

速水は瀬戸口を振り返る。
瀬戸口は、自分が女子高生や人妻に呼び出されて行く事について、「軍の特命を受けて呼び出されている。女性達は軍の工作員だ」と肝心な所は伏せて、しかし完全に嘘ではなく説明した。
普通に考えれば信じられる事ではないだろう。彼は熊本に誇るエースパイロットでも、士官学校出のトップ候補でもなく、一介のオペレーターに過ぎない。
しかし速水は、初めて自分の事を好きだと言ってくれた人の言葉を、全く疑う事無く素直に信じた。
瀬戸口が女性に腕を取られるたび、不安そうに揺れる瞳。
それでも、それは浮気を疑ってではなく、純粋に瀬戸口の身を案じての不安だった。
そうして出掛けて行った人が、自分の側に帰ってきてくれるだけで、嬉しかった。
瀬戸口はいつも優しい。

やさしい声。
やさしい腕。
やさしい眼差し。
やさしい笑顔。

瀬戸口の側にいるだけで、速水は幸せな気持ちになれた。
彼が自分に向けてくれる笑顔は、いつでも極上に甘い。
こんな風に愛情を注いでもらえる事が、こんなにも嬉しい事だなんて知らなかった。

「どうぞ」

コーヒーを置くと、ありがとうと礼を言う声さえ耳に心地よい。
暖かな手のひらが、頭にぽんと置かれる。
そのまま、髪をくしゃくしゃとかき混ぜられた。

「瀬戸口さん」
「ん?」
「呼んでみただけ」
「はは…」
「ここに」
「…?」
「ここに、居るよね」
「ああ」

―――好きな人が側に居てくれるだけで、幸せになれるなんて知らなかった。



速水は幸せで幸せで、その幸せ加減は半端ではなかった。
どれほど凄いかと言うと、瀬戸口とふたりで居る時の速水の状態が「幸福状態」であるのが通常になるほどに。
彼の醸し出す「明るい雰囲気」が、恋人同士のふたりきりのデフォルトである「Hな雰囲気」を圧倒するほどに。
瀬戸口がその事実に気付くまでには、まだまだ時間が掛かりそうだった。







Fin
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Hな雰囲気すら押し退ける、無敵のぽややんあっちゃん。
あっちゃんからの愛情に負けて、瀬戸口はある意味幸福かもです。
…ラブラブバカップル…。



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