風邪を引きました。髪が短くなったからじゃないですよ、たぶん(笑) 金曜からこっち「あ、まずいかも」と思っていたのですが、週末ずっとぼろっとした状態で過ごすことになりました。 土曜日、目の調子までおかしかったので眼鏡を掛けていたら、会社から帰ってから妹に「おねえがやってるホモゲーのめがねのヤツみたい」とか心無いことを言われました。 髪型のせい…? 神矢は心に深い傷を負いました(笑)
気を紛らわそうと短いお話を書いたりしました。 サイトにアップするにはあまりにも短いのでここに。
和篠?です。 篠宮×啓太←和希で。
【名前を呼んで】
「篠宮さん」 「ん?」 「篠宮さん…」 「どうした?」
首を捻った篠宮は、背後を振り返ろうとしたけれどどうにも上手く行かなかった。 背中にぴったりと寄りかかっている人を揺らさないようにするのは無理がある。 篠宮が困っているのに気付いたらしい彼は、身体を一端離してから篠宮の背中に改めてしがみ付いた。
「篠宮さん」
これで、5度目。 困ったように眉を下げる彼に、くすくすと笑いを零す。 背中に口を付けたままだから、彼の笑い声は篠宮の身体にじかに響いた。
「呼んでみただけです」 「そうか」 「篠宮さん…」
篠宮は、今度は黙っていた。
「美しい名前ですね。貴方の名前を呼ぶと安心するんです」
胸の前に手を交差させる和希を好きなようにさせておいて、篠宮は一拍置いて答える。
「もっと…綺麗な名前があるだろう。お前にとっては」
それが誰を指すのかきちんと判っていて、和希は小さく笑った。
「その名前は、こんなふうな時には呼べませんよ。どきどきしてしまって、どうしようもなくなるから」 「そうか…」
それは、誰より愛しい子の名前。和希にとっても、篠宮にとっても。 大恩ある理事長の誰より愛しい人を奪ってしまう形になった篠宮は、和希に逆らえない。和希は何も要求しないが、時々ふらりとこうして来ては篠宮に猫のように甘えて行く。それを追い払う術はない。 和希は恨み言など言わないが、時々こうして零すあの子への恋情が、どんな讒言よりも鋭く篠宮の胸を抉る。 きっと和希は篠宮を憎んでいる。それを言葉にも行動にも出さないが、彼が引き連れてくるこのような甘く濃密な空間が篠宮を窒息させる。真綿で首を締めるが如く。
「篠宮さん」
その声は、甘く、囁きかける。
「キスして下さい」
啓太にくちづけた、その口で。 けして口には出さないそんな言葉を、灼けるような眼差しが雄弁に語る。 窒息してしまいそうだ。 いっそ詰ってくれ。愛するあの子を横から攫った悪党とでも、恩知らずとでも、何とでも。
首に絡む腕を振り払う術も持たず、篠宮は固く目を閉じた。
END ――――――――――――――――――――――――――――――――― 悪い和希。攻めなのに性格悪いなんてどうしよう。 キス以上は要求しないあたりがねちっこい。
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