斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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| 2005年03月17日(木) |
資本主義者のLD/LF騒動に対する違和感 |
僕は、自分を「資本主義者」だと称している。 資本主義者である僕は、LD/LF騒動には強い違和感を感じる。 放送メディアとインターネットの融合に関しては、全くといっていいほど議論されていないし、僕自身も「今回の件では」ネタにする価値すら感じないので、無視する。
僕が違和感を感じるのは、「株主価値に対する短絡的な議論」と「資本主義じゃなくて資産主義か?」の二点である。
・「株主価値に対する短絡的な議論」について
LD/LF騒動で、今更ながら「株主価値」および「会社は誰の物か?」についてマスメディア等で陳腐な論議が繰り返されている。 言うまでもなく株式会社は株主のものであり、株式会社は株主への貢献が最優先される。 株式会社では、経営者も株主の委任を受けて経営を行っているのであり、経営者のものではない。 それは、ルールであり、議論の余地はない。 だが、今回の騒動では、株式会社のシステムが企業支配(ガバナンスというよりも支配)の観点に偏って論じられているように思う。
本来、企業が追求すべき、株主の利益、株主への貢献とは、何か? ひとつは、「永続的な」株価の向上であり、もうひとつは配当である。 このあたりの議論については、僕が過去に書いており、当時と考え方に変化はないので、そちらを参照していただきたい(下記リンク参照。先に読んでおいてもらえるとうれしいです)。
株式会社にとってのステークホルダーは下記のようになる。
�仝楜� �⊆莪�先 ��従業員 �ざ箙� �ダ�府 �Τ�主
この順序は、P/Lに記載される順序である。 P/Lに沿った形で言い換えよう。
�’箴紂文楜劼悗両ι福Ε機璽咼垢猟鷆 � ��原材料コスト(取引先への支払い) ��製造販売費用(従業員への給与支払い) �ぜ擽睚嶌僉�金利支払い(銀行への支払い) �ダ廼癲弊�府や社会への支払い) �ζ睇�留保(成長のための再投資用) ��配当(株主への支払い)
P/Lにのっとった上記の順序によると、富の分配では株主が一番最後となる。 企業は売り上げに対し、最後の絞りかすを株主に配当するのである。 すなわち、株主を重視する、ということは、その他のステークホルダーである顧客、取引先、従業員等を重視したあとの最終結果である、ということである。 顧客、取引先、従業員が生産活動を行うからこそ、企業は収益を上げることができる。 企業が株主に報いるためには、顧客、従業員、取引先が製品やサービス、財を生産し、収益を上げなくてはならない。 P/L上で株主より上位にステークホルダーを重視しているからこそ、株主への貢献が果たせるのである。
だが、今回のLD/LF騒動では株主利益、と主張しながら顧客、取引先、従業員は無視されている。 これは、資本主義者の僕にとっては、矛盾に見える。 企業支配だけの議論でしかないように見えてしまう。 LDがLFおよびCXを支配したところで、うまくいかない。 取締役会を牛耳っても、顧客、取引先、従業員を無視して株主利益だけを生み出すことはできない。 僕には、株主価値を毀損することになる、としか思えない。 敵対的買収が難しいのは、これらのステークホルダーを納得させられない場合が多いからである。
・「資本主義じゃなくて資産主義か?」について
LD/LF騒動では、やたらと「資産」の話が出てくる。 C/F、P/L、B/Sのうち、B/S(資産)に関連する話題ばかりをしているように思える。 僕がアニュアルレポートを読む際に重視する順序は、C/F、P/L、B/Sの順である。 LFもCXもサービス業である。 サービス業にとって、B/Sは大きな意味を持たない。 資産、PBRベースの企業価値の評価は重要ではない。 B/Sをベースにした企業価値が重視されるのは、重厚長大型産業、設備投資型産業、インフラ産業などである。 今回は資産としては持ち株が話題の中心なので、少しニュアンスが異なるけれど、サービス業にとって、資産は多くても本業にはあまり関係しない。 僕は、資産ではなく収益で、PBRではなくPERで、語ってほしいと思う。 LDは、LFおよびCXの企業価値を上げる、というのであれば、収益およびPERが上がる施策を提示すべきだ。 どうやって収益を上げていくのか、どうやって株主価値を創造していくのか、どうやってPERを上げていくのか、について提示できなければ、LFもCXも説得できないし、市場からも理解を得られない。 (「資本主義」と「資産主義」は言葉遊びとしておもしろいので使ってみたが、きちんと論じると異なるので注意)
現状はまだ国盗り合戦の段階で、僕が書いたような事は、次のステップで論じられる事なのかもしれない。 でも、現時点でもきちんとしたビジョンが提示されなければ、LDとLF/CXの溝は永久に埋まらず泥沼化するだけだ。 泥沼化した無益な争いが続けば、当事者以外の株主およびステークホルダーは無視され続け、当事者も共倒れしてしまう。
僕は、LD/LF騒動は資本主義の本質とは異なる次元であるように感じる。 僕のような違和感を感じる人ってあまりいないのかな。 やはり僕は斜めうえか?
■2002年11月20日(水) 本当に企業は株主の利益を最優先して良いのか? http://www.enpitu.ne.jp/usr9/bin/day?id=99799&pg=20021120 ■2002年11月06日(水) 永続的に株価を上げる続けることは可能か? http://www.enpitu.ne.jp/usr9/bin/day?id=99799&pg=20021106
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