2009年07月26日(日) |
高村薫/太陽を曳く馬/マーク・ロスコ |
NHK「日曜美術館」の再放送をようやく見ることができた。 特集されていた画家はマーク・ロスコ。20世紀抽象絵画の中心にいた人物の一人である。 ロスコを愛する作家として紹介されたのが高村薫さん。 ここのところ彼女の作品をずっと読み続け、新刊「太陽を曳く馬」に辿り着く計画を実行中であるぼくとしては何としても観たかった。 作品への補助線としてロスコの絵も何としても観なければならなかった。
高村さんと番組の司会者でもある姜尚中との言葉のやりとりも素晴らしく、表現するということ、生きるということに改めて全力で向かうことができる。感慨をおぼえた。
意味の彼岸…意味からの解放…手触りと空気。 これらの言葉を胸に、果たして言葉の外まで歩いていけるだろうか。 それが僅かな歩みしか残せずともいけるところまで行こう。そう思えた。
ところでマーク・ロスコの絵は滋賀県立近代美術館にコレクションされているはずである。ここはアメリカ現代美術の凄いコレクションで有名なのだけれど、常設展で観ることができるだろうか。 高村さんは言う。 「絵は眼で観るものではない。全身で『観る』もの。だから図録よりもやはり絵の前に立つこと…」と。
その高村さんでさえ図録でしか出会えなかったのだ。そして世界に散逸しているシーグラムビルの壁画を千葉県の美術館が一堂に集めたのだった。
不思議な、怖いような、無意味のような、饒舌のようなしかし心に突き刺さる絵だった。 実際の絵の前に立ちたい。
高村さんの新刊「太陽を曳く馬」のカバーはロスコの絵である。もちろんシーグラム壁画の一点だ。
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