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空を見れば 何かに 気がついて 照らされて また 何かを 取り戻したような気がするんだ
思い出す 涙がほほをつたう感覚を
人ごみの中で 空を見れば 誰かに ぶつかって にらまれて また 何かを なくしたような気がするんだ
思い出す 視線が空(くう)を斬る感覚を
目の前にいる人の ひきつった笑いが いつまでも 顔にはりついて それが自分だなんて 気づかなかったんだ
私は赤い氷山をくずしていく 白い熊と 黒いペンギンが 次々に邪魔をする あまく つめたく 夏の涼
しろい部屋のなかに あなたがいる あなたのまわりには なにもないわ
時計もないわ じかんがわからないでしょう? 窓もないわ じかんがわからないでしょう? 影もないわ じかんがわからないでしょう?
時計がなければ やみをこえられないわ 窓がなければ たいようとくも つきとほし なんにもみえないわ 影がなければ きたとみなみ にしとひがし どちらなのかわからないわ
それでも あなたはわらうのね
そのしろい部屋には かべもないのに そのしろい部屋には てんじょうもないのに そのしろい部屋には なんにもないのに
それでも あなたはどこへもいかないのね
でも わたしはしんじるわ
そこに 永遠が あるのなら
ねぇ 誰かが ぼくを見てるよ 刺すような 見透かした視線 逃げよう 君を守るために ぼくは走れるよ
ねぇ 誰かが ぼくを呼んでる さびついて 乾ききった声 挑もう 君を守るために ぼくは立ってるよ
消えそうな 君を守るために
ぼくは生きてるよ
蟻は 道しるべによって 列を成すと言う 仲間から はなれないように その道しるべは 彼らのきずな
僕の足跡は 見えていますか 僕の足音は 聞こえていますか
あなたから はなれないように はなれないように…
そんな隅に 隠れていないで そんな隅で 小さくならないで こっちへ来て もっと 顔を見せて わかりあえる きっと 心を見せて
いまの君は 輪郭だけしか いまの君は 悲哀だけしか いまの君は 本当に 君なの?
そう きっと 君はあたし …わかりあえる
君がもし あたしなら
風が通り過ぎた 私に教えてくれた もう旅立つのだと ここにはいたくないのだと 風 君がうらやましい 君の心が荒れている日には 皆がどこか寂しく 君の心がおだやかな日には 皆が笑っている 愛されているのだね 君は疲れたかい そして旅立つんだね
それでも 風は最後に言った また会いに来ると
ぼくのあしもとが やけにしろっぽいんだ どうしたことだろう かげがなかったんだ ぼくはかいほうされたんだ いつもいつも ぼくにつきまとってくるあいつ ひかげにはいると すがたをかくして ひがないちにち ぼくにまとわりつく あいつを。
ぼくははくしゅをしたんだ このよろこびをつたえるために でも ぼくのてもとが やけにしずかなんだ どうしたことだろう おとがなかったんだ ぼくにはおともなくなったんだ おとがしなければ だれのこえもきこえないじゃないか もちろん ぼくのこえも… ぼくはこえをだそうとした でも ぼくはいつのまにか こえのだしかたをわすれてしまったんだ ぼくは いまになって かげをおもいだした
あいつだけは わかってくれた ぼくがこえなんかださなくても だまってうごくだけで ときに なぐさめてくれたあいつ おとなんかなくても つたわっていたのに かげがいなくなって おともなくなって ぼくはだれに かなしみを つたえたらいいの ぼくはだれに どうやって つたえたらいいの
かげのないせかいで おとのないせかいで
ぼくはなきかたも わすれてしまったんだ
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