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■ マニアックナース
「心臓病の子どもの採血」
↑心臓手術前後の子どもの採血というのは、たぶん成人とは違った難しさが存在することを如実に物語る記事である。
子ども(生後○日の新生児〜幼児)は、
�ゝ磴�叫ぶ→医療者は平常心を保ちにくい 焦る →しかも泣くと末梢血管がしまって更に血管が見えなくなる �∨修譴襤�うまく押さえないと糸のように細い血管に針を命中させるのは至難の業である ��ぷにぷにしている子が多い→駆血帯でしばって浮いてくる血管なんてほとんどわからない �い修發修盞豐匹�細い
のに加え、ボリューム不足で脱水気味、そして血管が異常に細い子もいる心臓病の子どもは、
�ケ�圧をかけて血液をシリンジで吸うとすぐに血管がへしゃげる→採血量がほとんど確保できない 0.5ml〜 もしくは「何滴」の世界である �Ψ豐匹�つぶれやすい→そこからはもうしばらく採血できない �Ъ蟒兪宛紊任△襤�太くて採血しやすそうな血管は、末梢静脈留置針確保のために残しておかないといけない→必然的に使えない �┐修發修發瓩椶靴し豐匹�ない→赤ライトで透かし照らしても、あるならば見えるはずの血管が手背などに見えない あっても糸みたいで、くねくね走行しているので採血不可能 ��病気の種類によっては、泣くと発作を起こして死に至るリスクがある(稀な事ではなく)→薬を使った鎮静が必要だが、鎮静の種類やかけすぎによっては呼吸抑制が起こる場合もあるので鎮静の加減が難しい
などなど、途方も無い困難に満ち満ちている。
一人の子どもの採血に、医療者数人がかりで15分-30分かかることもザラであり、それでも術前採血においては十分な検体量が得られないこともしばしばである。 末梢静脈、もしくはPIルートのようなラインを確保することにいたっては、小児科のドクターが必死こいても1時間だってかかることはあって、それでもラインが確保できないときだってあるのだ。 ラインがやっとの思いで確保できたあとは、その場にいる皆汗だくでグッタリである。ほかの仕事なんて何もできない。でもそういうわけにもいかない。 これは誇大に話しているのではない。日常的に起こっている、現実だ。
手背(手の甲)に針を入れて、陰圧をかけてひくと血がひけないから、プランと入った針から血液をポタポタとスピッツに落とすことも、よくする。 手の甲に、針のささった腕をしぼるように揉んでムリヤリ血を出すのである。最初見たときは、何このマニアックで鬼畜な採血、とカルチャーショックを受けたものだ。 足の甲だって手の甲だって、親指の付け根だって、とれそうなところがあればどんなところからでも何とかして採血する。 前は、首の血管から採血してたときもあった。すげーこわかった。 それらがダメなら先生に足の付け根の太い血管から採血をしてもらう。この場合の針を入れる角度は結構な感じに垂直に近い。ぶっさしている。だがその方が、 奥にある太い血管に最短でたどりつけるのだ。表在している静脈とはわけが違う。すぐにひしゃげる静脈からひけそうにない子は、ドクターは意図的に動脈にさして採血することもある。 その方が最小回数で済ませられる場合が多いからだ。 いずれにしても、一般的な感覚からするとおぞましい光景である。ちょっと拷問かと思う。 でも、何としてでも採血をしなければならないときがたくさんある。 そうしないと、輸血準備もできないし、手術も出来ないんだもの。手術しなければ死んじゃうんだもの。この子はそのために入院してるんだもの。 術後だって、採血じゃなきゃどうしてもわからないデータもあるし、それがわからないと治療も進まないんだもの。
というわけで、採血ひとつとってみても、マニアックである。
しかもうちの部署は動脈ラインが入っていることが大概で、そのラインから採血ができるので、 実際に子どもにナースが刺して採血する機会が少ない。 末梢静脈留置針をとるのも、小児の場合ウチはドクターが行っている。
だから、ふつうの成人の採血が というか、採血自体ヘタクソなナースが量産される。 ふつうに働いていればふつうに上達できるであろうことが、上達できない。 子どもの関節をキメる押さえるのばかりうまくなってどうしろというのか。
心臓の術前術後が主だから、管理もマニアックである。
体と肺の循環バランス、血液ガスのデータ(pO2/pCO2、pH、BE、saO2、非常に大事なKの値、Na...)、 BUN、BNP、WBC、CRP、Hb、TP、Alb、etc...、レントゲンの心胸郭比、 心エコー、尿の出具合(アホみたいに計算する2時間ごとの水分出納バランス、1時間1kgあたりの尿量)、 皆違う心電図(教科書に載ってそうなふつうの心電図がほとんど無い VPC連発、変行伝導、陰転P波、 ジャンクショナルP波、脚ブロック、APC、)、やたら早い心拍数、 高濃度酸素を投与していはいけない病気の子、でも酸素の値があまりに低いから(SpO2 50%台とか)、ブレンダーを使って21%とか30%とか40%とかの濃度で酸素を投与する、 内服薬・注射薬においては体重によって量が微に入り細に入り違う利尿剤や強心剤、循環作動薬… (ex:ユナシン(瓶入り抗生剤 1.5g/瓶)110mgを生食(20ml/本)1.1mlに溶解…など)
よく見る薬や、採血項目、各種検査結果、そういうのも、へんなことばっかりだ。
ふつうの大人の血圧や心拍数って、どんなだっけ? 老人によくあるような心電図波形って、何だっけ? 血ガスのキットってつかわない? カリウム値とか特に見ない?KCLの補正もない? ラシックスやアルダクトン、ジゴシンやカプトリル、ワーファリンやアスピリンには馴染みがあるけど、ディオバンやサンリズム、 アマンタジンとかアマリール、アムロジンとかペルジピンとか、よくわかんない… えっ、リプルのお薬って四肢潰瘍とかバージャー病? どうして動脈管開存のことが薬の本に載ってないの… 子どもを寝かせるためによく使ってるトリクロ、劇薬だったんだね… エコーでは異常血管の走行や細さやEFよりも、弁の逆流? 逆流の程度は? 水分出納バランスが+500とかやばくない? なるべくプラスマイナスゼロじゃなくていいの? え? 尿が出てるから大人はだいじょうぶ? 食事の水分量は計算しないの? 水分制限の計算っていらないの? 正直、糖尿病(生活習慣病)のこととか、肝臓のこととか、消化器系のこととか、 脳卒中とか、ガンとか、透析とか、 なんかほかの色々なこと、よくわからない… おんなじ心臓病でも、HLHS(左心低形成)とかファローとか、DORV(両大血管右室起始症)とか大動脈弓離断とか、単心室とか共通房室弁とか、弁の閉鎖症とか肺動脈狭窄とか、エブスタインとかはいるけど、大人によくある狭心症とか心筋梗塞とか、ほとんど看たことない…
あたりまえのことが、よくわからない…
まともに採血も末梢も取れない、清潔ケアもヘタクソ…(子どもはちっちゃいし基本的に結構きれいだから、大人ほど清潔ケアに労力もテクニックも使わない 使えないナースができあがる)
体肺循環バランスが全てといっても過言ではない。 それが崩れると命にかかわることが少なくないから、狂ったようにそんなところばっかり管理する。 体のちいさな子どもは、簡単にバランスが崩れるからだ。 そして心臓病の子は、その崩れたバランスが致命傷になる。 血眼になっておしっこの量とか入った水の量とかを計算する。1時間0.2mlしか入らない点滴の量だって、当たり前のように計算に入れる。 新生児においては、0.3mlしか採らない血液ガスの採血量も、水分アウト量から引いて計算する。
でもこの体肺循環バランスの理解だって、まったくもって十分ではない。
重箱の隅をつつくような部分ばかりで管理をしているから、 ジェネラルには全く使えないナースができあがってしまう。
それがいやで、この領域から去っていくナースはうちの部署にたくさんいる。
たまにすごく情けない気持ちになるけど、 そんなこと言ったって仕方がないので考えないようにしてひたすら働くしかない。 今私が看てるのは今目の前にいる子なんだから、なんとかして看ないといけない。 余計な事は考えちゃいけないんだ。 とりあえず邪魔なものは全てふりきって、看るのだ看るのだ。
今日も深夜だ。がんばろう…
2010年05月13日(木)
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