風にふわりと 〜こころのすきま〜
伝えたい想いは、 次から次へと浮かんでは消えてゆく。 次の瞬間まで、どうかお願い、 ここに、この胸に留まって。 一番あなたにふさわしいことばは、 次から次へと起こっては流れてゆく。 次の夢まで、どうかお願い、 ここに、この記憶にしがみついて。 お願いしても、現実はむなしい。 想いやことばは溶けて混ざり合い、 あなたの元へ届くときには、 不思議な形に変わっている。 どうかお願い。 わたしのことばを受け取ったあなたが、 わたしを嫌いになりませんように。 どうかお願い。 あなたを傷つけませんように。 わたしはあなたが・・・ 2003年04月29日(火)
二つをはかりにかけて、 どちらか一つを選ばなければならない。 もし二つの重さが等しければ、 もっと精密なはかりにかけて、 それらを比べなければならない。 二つのものの重要性が、 「その」重さに在るとは限らないのに。 二つのものの重要性が、 同じ箇所に在るとは限らないのに。 愚かなのか。無知なのか。 「イコール」なんて、認めない。 「等しい」なんて、許さない。 向上心を持つ限り、 皆が等しいなんて在り得ない。 何かを大切にする限り、 誰も傷つけずには生きられない。 今日も明日も、きっとずっと。 2003年04月28日(月)
緩い風が脇をすり抜けてゆく 今ごろ地球の裏側で こんな風を感じている人が いるのかもしれないと思いながら わたしは今日も歩いている 平和を願える君が うらやましくてたまらない 平和なんて何処にある まだ見ぬそれを願う君が わたしはうらやましくてたまらない うらやましくてねたましい 君が願う平和の形は わたしの目には映らない 欲望を昇華させる形を 君は失うかもしれないのに それでも君は平和を願えるのか 服なんて持たずに生きている人がいる 今日も何も食べられない人がいる 病気なのに薬がない人もいる まだ生まれて間もないのに 死に逝こうとしている人がいる わたしはその苦しみを知らない 取って代わる勇気もない 君はわたしと違うといえるのか それでも君は平和を願えるのか ゆるい風が 死に逝こうとするあなたの頬を撫でる 今日も世界を駆け巡る 2003年04月17日(木)
赤いポストをめがけて行って、 ふと視線を右にそらすとあなたがいた。 二車線の道路をはさんで、 大きなガラスの向こう側。 視力は前より落っこちて、 お月さまはいくつも見えるのに、 何メートルも離れたあなたを、 わたしは見つけることができた。 変わっていなくて泣けてきた。 変わったことがわからない距離に泣けてきた。 いじらしいわたしに泣けてきた。 走って逃げた。 後ろを向いたあなたが、 振り向いて、わたしに気付かないように。 走って逃げた。 後ろを向いたあなたが、 振り向いて、わたしを見ても、 わたしだとわからないように。 走って逃げた。 慣れない靴が痛かった。 2003年04月14日(月)
暖かい春の風と 君のやさしさが胸に染みる 心地よいようなくすぐったさ あぁ わたしまで どこかやさしくなれそうな やわらかい日差しと 君の瞳で胸がいたい そして空では桜の花が ふわりとしずかに舞い上がる わたしにそれはつかめない つかめない眩しさとうつくしさ 陽の光がわたしに魅せる それはいつも逃げていく 残像さえもうつくしい それはいつも駆けて去る 2003年04月13日(日)
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