きりんの脱臼
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ここは、なかはられいこ(川柳作家)と村上きわみ(歌人)の
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水滴をいくつもむすびわたしたちあけがたの森のようにすずしい 村上きわみ
森中に張り巡らされた蜘蛛の巣のことなどを思いながら寝ころんでいると、 どっちが被害者で、どっちが加害者かなんて、 考えるだけばかばかしいってことに気がつく。
とりかえたり、いれかえたりするうちに、 なつかしさのあまりほとんど憎みそうになる。 傷つけ合いながらそれぞれの一部になってゆく肉体。
遠い鉄塔を目指して歩いていったことがあったでしょう?
猶予、猶予って十回ずつ交互に言い合って。
涼しい風が吹く朝だったね、あれは。
見わたすかぎり緑色に染まった大地。 水田のところどころに金や銀のリボンがたなびいていた。 不注意に触れれば手を切りそうな風。 指を握っていてほしくて立ち止まってふりかえる。
あなたは鉄塔しか見ていなかった。 まるで中立地帯に取り残された兵士のような目つきで。 わたしはいきなり歌い始める。 ことさら明るい歌を、ことさら明るい声で。
人生に意味なんてないよ。 だから生きているんじゃない。 いままでも、これからも。
ねえ、あの日わたしたちは鉄塔まで行き着けたのだった?
夕焼けはいくつもの質問のひとつ なかはられいこ
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