日々のあわ
あかり 



 ジンタイハフシギナリ。

何かと話題の「人体の不思議展」に行ってきました。
すべての人体が、生前からの意志に基づく献体によって提供されたという。
人形じゃない、本物の人体。

「そういうことは未知のままにしておきたい」という意見もあるだろう。
でも私は知りたかったし見てみたかった。
入り口ではちょっと身構えて、ドキドキした。
そして、入ってしまうと何もかもが興味深くてすぐに夢中になった。

以下、とっても稚拙な感想文ですが記録として。


静脈と動脈に青と赤の着色がされていて、肺の血管などまるで珊瑚のようだった。
隣で見ていた外国の人が「ビューティホー!ワンダホー!」と声をあげる。

人間の骨の中で一番小さいといわれる耳の小骨。本当にちいさかった。

私は片方の耳が聞こえない。

一人目の妊娠と出産のときのトラブルで聞こえなくなってしまった。
内耳やら外耳やら三半規管やら小骨やら、ずらっと並ぶケースを見つめて、
「私はいったいどこがどう悪くなってしまったのだろう・・・」と思う。

3ヶ月から10ヶ月までの胎児がいた。
一緒に行った友人は「ここだけはちょっと見られないや・・・」と避けていたが、私は見た。
隣にいた高校生が「かわいぃ〜」と連発。あまりの無邪気さに、ぎょっとしてしまった。

この世に誕生することができなかった赤ちゃん達が、こんなところで「可愛い」と声をかけられているのを見て複雑な気持ちになる。

続いてその横に展示してあった「胎盤」に驚愕。
「これ、一つの立派な臓器だね・・・」と思った。
知識では知っていたしその役目もしっていたけど、実際目にするとすごい存在感だった。
胎児に栄養を運ぶ血管がびっちりはりめぐされどっしりとしている。
出産の際、「後産」といって赤ちゃんの後に胎盤を出すのだけど、私は出てきた赤ちゃんを見るのが精一杯で、その後でてくる胎盤などちらりとも見なかった。
そういえば、自宅出産した友達はすぐに庭に埋めていたな・・・。あぁ不思議。

クモ膜下出血の人の脳まであった。10年前に母がなった病気だ。
手術をしたので散々写真ではみていたけれど、実際見るとぞっとした。
私の母は助かったけどこの人は助からなかったんだ。
そして、母のおかげで自分が「脳」について結構詳しくなっていたことに気づく。

出口をでて、友人と合流したんだけどしばらくはお互い黙ってしまった。
宣伝文句のような「感動!」という感じでは正直なかったけれど、見てよかったと思う。

帰宅してからJGに事細かに、興奮気味に報告する私。
「へぇ」とか「ホントに?」とか「そうなんだ・・・」とか言いながら真剣に話をきいてくれるんだけど、その顔がだんだんゆがむ。
ちょっと可笑しくなって、「あなたはきっと見れないね?」と言ったら、案の定、「あぁぁ。うん。だめだと思う・・・」とフニャフニャになって言った。

2003年12月09日(火)



 彼らの小さな社会

子育てに関して理想だと思っていることの一つに、
核に親が居て、なおかついろんな人が、(言葉が適切ではないかもしれないが)「よってたかって育てる」というのがある。

他者に任せるという意味ではない。あくまでも核に親があっての話。
祖父母から学ぶことも多い。もちろん保育園や学校の先生、友人達、近所の人々からも子供達は多くを教えられるからだ。

先日、洗濯物をたたみながら、長男Rと次男Kの会話をなんとなく聞いていた。

R「ねぇ、Kちゃん。いっちばん偉い人はだぁーれだ」
(なんと唐突な質問だこと)

K「パパ!」
  (即答だ・・・)

R「えー。ママだって偉いよ。ごはんつくってくれるし!」
(もっといろいろしてるけどなぁ:笑)

K「じゃぁ、おばあちゃんもだ!美味しいよねっ、ごはんー」
(たしかに。母もそう思う。)

R「でも、僕だってえらいよ。毎日がんばってるしー」
  (そうね、いろいろね。)

K「じゃぁ、Kちゃんもだぁー!がんばってるしー」
  (だよねぇ・・・)

R「先生も偉いんだよ。お泊り会のときに『今日は先生がお母 さんになるから』って言ったよ」 
  (じーん。)

K「じゃぁ、やっぱりママだ!」
  (・・・ん?)

と、こんな6歳児と3歳児の会話だったのだけど、
それからもどんどん身近な「偉い人」が出てくる出てくる。
その理由がいちいち可笑しくてにやにやしながら聞いていた。

そうだよ。それが君たちの小さな社会。
目を見開いて沢山学んでほしいよ。と、母は笑いながら洗濯をたたむ。



2003年12月07日(日)
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