日々のあわ
あかり 



 サモトラケのニケ

高校生の頃、朝の通学時に、バス停2つの距離を歩かずにバスに乗った私に対して、
「信じられないな、もったいない」とか、「いったい何考えてるの?そのくらい歩けよ」とか、
いきなり怒って言ってきた男の子が居た。同じ吹奏楽部でオーボエを吹いていた男の子だった。

で、その子は次の日の朝から私の家に自転車で寄るようになった。
「後ろに乗れ」と。
何で私がバスに乗るとあなたが怒るのだ。と理不尽な気持ちもあり、
何でこの人が自転車通学に変わらなくちゃならないのか。という解せない気持ちもあり、
後ろに乗せてもらいながらも私はすごく不機嫌な顔をしていたと思う。

その男の子が、ある日突然私に一枚の写真をくれたのだ。
写真というか、B4サイズの大き目のものだったのだけど、そこの写っていたのは
サモトラケのニケだった。



「素晴らしいだろ?すごいよなぁ〜」「なんて美しいんだろう。はぁ、ため息でちゃうよな〜」と
ひとりで大絶賛しながら「はい。これ、やるよ。」と、私にくれたのだ。

先日母が送ってきた私の“過去の荷物” の中にこの「サモトラケのニケ」が入っていた。


ルーヴル美術館にあると言っていた。
これをもらった10年後にパリに行ったけれど、とても短期間では見切れないと思い、敢えてルーブルには足を運ばなかった。(いつかこのためだけに訪れようと思ったのだ)
以来、すっかり私の頭の中の引出しにしまいこまれたまま、今の今まで取り出されることはなかった。

それが・・・だ。
また出会ってしまったのだ。ニケに。

巨大な迷宮、世界最大の美術館であるルーヴルに初めて撮影隊が入ってドキュメンタリーフィルムが撮影された、
ニコラ・フィリベール監督の映画【パリ*ルーヴル美術館の秘密】の中で再会してしまった。

ちらりと映っただけだったけど、「あっ!」と小さく声をあげてしまった。
救急隊員が階段を駆け上っているシーンの傍らに、サモトラケのニケが しらっと佇んでいた。

この映画の感想は明日にでも書こうと思う。あまりにも素晴らしい映画だったので、もう一回観にいこうと思っている。

さて。
高校生の私にニケを教えてくれた男の子は、今ドイツでオーボエ奏者として活躍中。
元気で居るのだろうか。
5年前に再会したきり、また音信不通なのだけど。




2004年06月10日(木)



 おはなしのこやし。

長男Rの学校へ給食の試食をしに行きました。

目の前に配膳された美味しそうな給食を前にした第一感想は
「う〜ん。スプーンの先が割れてない!」でした(笑)
美味しかったです。
自分達のころとはメニューもだいぶ違うのだろうけど、
あの独特な食事の雰囲気というか、嫌いなものも食べられちゃうような、
食べないといけないから頑張るぞ的な、食べ終わったあとの達成感(?)のようなものが懐かしかったです。

その後、教室を見学し、子供達の絵や粘土などの作品を見てまわりました。
そこで発見したのです。嬉しい一言を。

朝顔の種の成長絵日記です。
長男Rの
「おみずをあげたのでよろこんだとおもいます。」
の文字の下に、先生が、
「ではつぎはおはなしのこやしをあげましょう」
とコメントしてくれていたのです。

お話の肥やし

双葉に向かって「お。よく開いたね」とか、「いいぞいいぞ、その調子だ」とか、「はい、お水ですよ〜」とか話しかけるということなのだと思うのだけれど、これはすごくいいことだぞ。と、嬉しくなりました。

「いのち」を大事にする。

簡単に言うけれど、簡単じゃない。
きめ細やかに大人が子供に伝えていくことだと思います。
ある程度成長してから「心の教育」などという教育をするのではなく、生まれたときから(あるいは生まれる前から)
親の心持ちで伝えていくことだと思います。

大人(親)が、いかに「いのち」を大切にするか。(生き物を育むことも含め)
それが子供に伝わってゆく。そう思っているので、長男Rの担任の先生のコメントがとても胸に残ったのでした。

2004年06月08日(火)
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