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遠きにありて・・。 - 2004年03月22日(月) 「If」という番組を見た。 昨日のテーマは 「もし、あなたが初恋の人と再会したら・・」だった。。 番組の終わりに流れた「知らないうちにあなたも初恋の人と どこかで出会っているのかもしれない」というナレーションを聞いて、 私はふと十数年前のあの時のことを思い出した。 それは、私が社会人になって4年目の秋だった。 たまたま実家に用事ができて帰省し、 新潟の繁華街を歩いていたら、 偶然、初恋の人M君に会ったのだ。 初め、2人はマクドナルドの前で普通にすれ違い、 私にはそれがM君だったとは全く気がつかなかったのだが、 彼は私にすぐ気がついたようで、ありがたいことにわざわざ戻って声を かけてくれたのだった。 中学卒業以来の再会。その時は本当にビックリした。 気がつかなかったのも無理はない。 ジャニーズ系ハンサムだった彼はすっかり変わっていた。 背の高さは中学時代の身長に下駄を履かせたというぐらいで、 かろうじてそこだけに面影を感じたものの、 愛らしい丸顔はやけに長方形になり、クリっとした目は大人になって 顔が育った分、均等にではなく横に伸びてキツネ目に形を変えていた。 それにすべすべした肌はニキビ跡でボコボコ。 しかも、あんなにハツラツとバスケなどやっていた彼が、 「休日はパチンコとゴロ寝が唯一の楽しみ!」と語ったことで、 私の淡い初恋に寄せる想いは一気に崩れ落ちた。 もちろん、彼も久しぶりに再会した私に同じような がっくりさを抱いたかもしれない。 中学時代、さらさらの直毛でショートだった髪は、 ぐるんぐるんのソバージュになっていたし、 当時、すっぴんで初々しかった顔には、 どこまで削れば地肌ですか?といったような分厚い 化粧が施され、ボディコンスーツに身を固めた私は、 20代にして人生の酸いも甘いも嘗め尽くしました・・ みたいな、はすっぱな風貌に変身していたのだから。 それが証拠に、せっかく出会ったというのに、 私達にはその後、何も色っぽいことは起こらなかった。 初恋と故郷は「遠きにありて思うもの・・・」だということを、 あの時私は知り、そして今もそう思う。 おしまい。 ... ワカメ。 - 2004年03月21日(日) 最終電車に乗ったのは久しぶりだった。 昨日は金曜日だからだったのか、ぎゅーぎゅーというほどでは なかったが、車両には人が溢れていた。 前の人を押すように乗り込み、ふと反対側のドアの方に 目をやると、そこには一組のカップル。 ゆ〜らゆ〜〜らゆ〜らり〜。 2人で抱き合って揺れている様はまるで ワカメのようだった。 良く見ると、その理由は女にあるのだった。 泥酔状態に睡魔が加わって、もはや下半身に意志がない。 あっちにふ〜ら。こっちにふ〜ら・・といった具合に 支えていないと倒れそうな彼女を、男が必死に抱きかかえている。 力なく身を委ねようとする女を見て、さぞ重いだろう、、と私は思った。 だが、男に大変そうな様子はない。 むしろ身を任せてくれる女を支える腕で、手で、指で、 い〜や、、全身で、いとおしいとさえ感じているようだった。 きっとできたてホヤホヤのカップルに違いなかった。 私は夫と付き合い始めた頃を思い出していた。 そういえば私達も、揺れてはいなかったが、あんなふうに寄り添って 終電に乗った覚えがある。 私は心の中で女に静かに語るのだった。 女の人生、そんなに甘くない。 いつまでも、男が支えてくれると思ったら大間違い・・と。 おしまい。 ... ノバうさぎ - 2004年03月19日(金) 今日、地下鉄の中で絵を描く少年に出会った。 彼はおばさんを挟んで、私の隣の隣に座っていた。 学生帽に半ズボンの紺色の制服。 制服の襟には印鑑か?と思われるような複雑な校章が あって、一目でいいとこの私立の小学生といった感じだった。 初め、私は彼の存在をまったく意識していなかった。 だが、隣のおばさんの「あら〜上手ね〜」という 声に促され、彼が絵を描いていることに気がついたのだった。 彼が描いていたのは、 ノバうさぎであった。 それが、おばさんが感嘆の声を上げるのも分かるほど上手い。 小さい頃、私もそこまでは上手くなかったと、本当にビックリした。 男の子の手はするすると動き、あっという間にノバうさぎを 仕上げてしまった。 さて次ぎは何を描くのかと、私は期待して その少年の手元を見ていたのだが、 彼はうさぎが完成しても、線を足すことを止めない。 それどころか、せっかく可愛く出来上がっていたノバうさぎを あっという間に恐ろしい怪獣にしてしまった。 混沌としたこの現代社会。 誰もが多くのストレスを抱えている。 小学生でさえ、それは例外ではないと聞く。 坊主!いったい学校で何があった? おしまい。 ...
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