台所のすみっちょ...風子

 

 

不毛地帯 - 2004年11月07日(日)

作家山崎豊子の作品に「不毛地帯」というのがある。

時は第二次世界大戦直後。

シベリアでの抑留生活からようやく帰還した元軍人が

商社に入り、目まぐるしく変貌する日本社会を生き抜いてゆく、という物語だ。



不毛地帯は4巻からなる大作。その一冊一冊が厚い。

この度、この大作を旦那が読み上げた。

時間はかかったようだが、最後まで読みきった。

実はこの作品を彼に紹介したのは私。

だが、私は読んでない。あまりのページ数の多さにちょっと辟易し、

一巻のはじめの方で止めてしまったのだ。

きっと、旦那が読破できたのは企業戦士である自分と重なる部分が多く、

共感できたからではないか、と私は考えている。


「いい本に会えたって感じ。凄く勉強になったよ〜」

彼はそう言って喜んでくれた。

主人公「壱岐」はサラリーマンとして、戸惑い、迷いながら出世してゆく。

それも副社長まで行ったらしい。


旦那の「勉強になった」という言葉とそんな本の内容を交互に思い浮かべる時、

マンションどころか、別荘まで買えるのではないか?と、

へへへ・・・私はほくそ笑まずにはいられない。


おしまい。


...

モモンガ。 - 2004年11月05日(金)

ちょっと前までうちのチャリンコの鍵には、

携帯クリーナーがついていた。

だが、細長いそれは、走っている最中にゆらゆら揺れて、

ヘタをすると、タイヤに絡まりそうになるのが欠点だった。


「なので、このモモンガ君にしましたぁ〜!」

どっから入手してきたのか、旦那がそう言って、

キーホルダーを携帯クリーナーからモモンガに代えてくれた。

あらいぐまラスカルに似た顔の、両手を思い切り広げた

モモンガだ。


すぐにでも、このモモンガの鍵を指した自転車に乗ってみたいと思った。

ちょうどマンション購入でお金を貯めなければいけない時期。

今まで電車で行ってたバイトに、自転車を使えば、

電車賃も節約できるし、一石二鳥なのだ。

だがもう11月。

バイト先までは自転車で20分強もあり、遅番の時など

乗ったら風邪を引きそう。

そんなわけで、あれから2週間も経つというのに、

私は相変わらずの電車通勤。

途中でお茶も2回してしまうから、バイト代の減りも甚だしい。


いっそ、おまえのようにパ〜ッと飛んで行けたら・・・

玄関の棚の上に横たわるモモンガを見つつ

私はそう思わずにいられない。


おしまい。


...

サイクリング。 - 2004年11月04日(木)

あれは一ヶ月半ぐらい前の日曜日。妹夫婦の住む町に物件を見に行った。

予約してモデルルームに行くと、迎えてくれたのは、

万年窓際な上に妻と子供に逃げられました、といったような

しわしわな背広を着た50代のおやじ営業マンだった。


そこはほぼ完成しているので、現地に行って実際の部屋の確認が

できるのが売り。

ギャラリー内のモデルルームを見学し、さあ行きましょう!と外へ出ると、

おやじが人数分のチャリンコの鍵を持って来た。

てっきり車だと思っていたので驚いたが、私達は促されるまま、

自転車にまたがった。


いざ!サイクリングの始まりである。

先頭はもちろんおやじ。おぼつかないハンドル操作のその後ろを

私と旦那がゆく。

漕ぐこと5分、もう道を渡れば物件!というその時だった。

彼が信じられない行動に出た。

車がビュンビュン通る道を、私達を振り返ることもなく、

「さあ!」と言うやいなや、いきなり自転車で渡ったのだ。

信号機も横断歩道もない、交通量のめっぽう多いそこを「さあ!」である。


私達に物件を見せ終わせるとオヤジは

今度は「駅を見てみましょう!」と言い出した。

そんなことしなくても、私は十分駅周辺を知っていたのだが、

断りきれずついて行くと、突然雨が降って来た。

おやじは止める素振りも見せず、ひたすら駅に向って漕ぐ。

まるで濡れるのがなんだ、、といったふうに。

雨の中を必死で駅に向かう私達3人の姿は、まるでトライアスロンの

選手のようであっただろう。


その後、駅を見て、ようやくギャラリーに戻れることになったのだが、

帰りがこれまた大変だった。

通る道は車が頻繁に行き来する狭い道路である。

両脇に歩道がついているのだが、人がまともにすれ違えないような幅。

おまけに、車道との段差が高い。

もし、すれ違い損ねて車道側にバランスを崩したら、車に引かれるか、

頭を強打するかで命がなさそうであった。

だから、ヨロヨロする私を見かねたのか前から来たおじいちゃんが端によけて

道を譲ってくれる始末だった。


命からがらモデルルームに着いた時、体は雨で湿りきり、

私も旦那も道中の緊張でクタクタ。


この時のことは我が家で

「禁じられたサイクリング」と今も語り継がれている。


おしまい。


...




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