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割増。 - 2005年04月07日(木) 時代もあったのかもしれないが、 旦那は若いとき、茶色の太いフレームの あられちゃんのような眼鏡をかけていた。 だが、ある時、「オレさ〜コンタクトにする!」と急に それを止めてしまった。 彼のあられちゃん姿は結構気に入っていたので、私には とても残念でならなかった。 日曜日、旦那が突然、急性結膜炎になった。 この病気は一種の感染症。目が血走ったように真っ赤になり、 目やにがゴロゴロ出る。 もちろん手で触ってはいけないので、コンタクトはご法度。 眼科に行ったら、眼鏡を薦められたらしい。 火曜日、早速、彼が眼鏡を買った。 今、家にあるものは、フレームの部分が少し壊れていて、 とても会社にはしていけないのだ。 眼鏡は営業時間中に買ったらしく、その日、彼は眼鏡をかけたまま帰って来た。 新調した眼鏡に彼は少し落ち着かない様子で、 照れながら何度も自分の「イケテル度」を私に確認する。 「ねえ、どう?どうかなぁ〜?似合う?」 「似合うよ〜、レンズが小さくて、フレームが四角っぽくて・・ いいじゃん!ものすごくインテリに見えるよ」 そうなのだ、確かに、もの凄く仕事ができそうな、例えば IBMに勤めてる人ぐらいのインテリに見える。 だから、何度も繰り返される確認のやり取りの中で、 ついこんなことを口走ってしまった。 「ホントに良いよ!なんかね、脳みそが3割増しって感じ」って。 おしまい。 ... その理由 - 2005年04月06日(水) 普通、退職するときは、「お世話になりました」という意味でお菓子とかを渡す。 だが、解雇される私達の気持ちは 「経営者側の都合だし、副支配人から勧告された後は社長からも支配人からも 何の言葉もないしね〜。いいんじゃん、あげなくても」 であった。 結局、何もあげない、ということで話はまとまったのだが、 シフトの関係上、一番初めに辞めることになったSさんが、 花束をもらったことで状況は一変。 「花までもらうのに手ぶらでサヨナラはマズイ・・」と。 そこで、一番最後に終わりになる、Kさんに代表で渡して もらおうということにしたのだが、 お願いしても彼女は頑なに「イヤだ!」と言うのだった。 彼女は大学生の娘さんもいる、50もとおに過ぎた人である。 もともと、自分から表立って何かしようとするタイプではなかったが、 渡すだけなのに・・と私はいささか不可解であった。 ところが、この前、仲の良かった同僚の0さんからその理由を聞いた。 どうやら、Kさん、事務所にもう10年も勤める主、ハエ採り草のような マスカラまつ毛を持つTとトラブルがあったようだ。 うちのスポットにはパソコン2台につき、プリンターが一台の割合で セットされている。 印刷用の紙は安いものだが、お客からは1枚30円もらっていた。 Tは頻繁に来て、インターネットをしては、良くページを印刷していったらしい。 その枚数は一回につき膨大で、あまりの多さに、真面目なKさんはある日、 お金を払って欲しいとチラっと頼んだそうだ。 すると、Tはその日プリントした紙すべてを本人の前でビリビリ〜といきなり 破ったそうである。 どんなにビックリしただろう。 ていうか、普通いるかよ?そんなヤツ。 それじゃあ、事務所に菓子なんて・・・渡す気にもなれんわな・・。 おしまい。 ... 造形美 - 2005年04月05日(火) 自分で言うのも何だが、 小さい頃から美術というものに接して来たからか、 私は「美しいもの」には敏感である。 実は、旦那に惹かれたのも、彼の美しさがその大きな理由だった。 おっとっと、、別に顔が、というのではない。 美しかったのは、彼の顎から首、鎖骨に至るまでのラインで、 そこに、ギリシャ像のような造形美を見たのだった。 私が彼のそういうところを初めて意識したのは、会社の帰りに飲んで、 何人かと上司の家に泊まったある夜のこと。 彼が上司に借りたTシャツに着替えるためネクタイをはずし、 Yシャツのボタンを3つばかりあけた時、隙間から覗く、彼の隆起する骨や筋肉の 美しさにドキッとしたのだった。 あれから12年経った今日。 さっき、顔を洗い、化粧水をつけようと、旦那が寝ている部屋に行った。 狭い家である。ワゴンの中の化粧水を取るため、 必然的に彼をまたぐ格好になった。 で、手を化粧水のボトルの方に伸ばしながら、ふと彼を見下ろしたら・・ 造形美どころか、 全体をぐっと圧縮したような、 首と胴体の境のない、 大福でできたトドみたいだった。 おしまい。 ...
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