台所のすみっちょ...風子

 

 

別れ道。 - 2005年06月03日(金)

私には仲の良い男友達がいる。

名前をGという。

彼との出会いは高校一年の時。友人の紹介だった。

そう、私達は付き合っていたことがある。

とはいっても、それはたった2週間。

高校を卒業する頃には、すっかりいい友達になっていて、

それ以来、私は彼の、彼は私の大人になっていくその様を見守り、

今ではすっかり家族ぐるみのお付き合いである。


ちょっと前の話になるが、GW、新潟に帰ったとき、

このGの家へひょこっと寄ってみた。

彼は二月に新しく家を建てたばかり。

新居を是非見てみたい!と思いがあったのだ。

で、感想はというと、とにかくもの凄い家であった。

門を入るとセンサーが通る人を感知するのか、

歩き進むと共に、順々に「いらっしゃいませ〜」と言わんばかりに街灯がつき、

足元に危なさを感じることなく、玄関のドアを開けることができる。

そして部屋はすべてが8畳以上だ。


でも、なんたって特筆すべきは、リビングと台所。

リビングには、外国製のテーブルと、なが〜く、ゆ〜〜ったりしたブルーの

ソファーが置いてあり、台所には、最新のIHクッキングヒーターが

備え付けられたシステムキッチン。

合わせて24畳の広さだという。


素晴らしい家を建てたGを私は羨望と憧れの眼差しで見、

換気扇の下でタバコを吸いながら、思わず

「あの高校の時さ〜、あのままず〜っと付き合ってたら、
 この台所で、このIHクッキングヒーターで料理をしていたのは、
 私かもしれないね」

と彼に微笑んだら、返って来たのは

「そりゃないね!絶対ない!」と激しくキッパリした答。



そ、そんなにハッキリ言わなくても・・・



おしまい。


...

一年に一回。 - 2005年05月31日(火)

一年に一回しか一緒に食事に行かない男の友人Sから

「そろそろ食事行こうぜ!」と連絡が来た。

ホント、一年と二ヶ月ぶりである。

早速メールした。

「オッケーです、でも、私は今無職なので、リーズナボ〜〜なとこでお願い」


店の予約はいつも彼の役割。

たくさん店を知ってるし、選ぶのはそこそこ洒落たとこなので、

彼に任せておけば、という気持ちがあるのだが、なんせ彼は

金持ち系。一回の料金が割高につく。

なので、メールに「リ〜ズナボ〜な」とあえて入れたのである。


先週、彼から早速店を予約したとのメールが来た。

金額のことが書いてなかったので、

「で、予算はいくらさ?」と返信したら、

返って来たメールには「ん〜〜、一人5000円ぐらいかな〜」


ちょっと焦った。私のリ〜ズナボ〜は居酒屋使用の一人3000円だからだ。

「まったくもぉ〜、高い〜」とメールの文面相手に怒りかけたのだが、

タバコを吸わない彼のメールの一番下にはこう一行書いてあった。

「席は喫煙席をリザーブしておきました」


許そうという気持ちになった。


おしまい。


...

キャリーバッグ。 - 2005年05月29日(日)

「これ欲しいなぁ〜」と言って

旦那が雑誌「R25」に乗っていたネット販売で、

キャリーバッグを注文したのは、一週間ぐらい前のことであった。

「そんなもの買ってどうすんだよ?」と言う私に向かって、

「何かと便利だからさ〜。ホラ、旅行の時とか〜」と彼はとても楽しげ。


で、金曜日。そのバッグが届いた。

形は四角。色は黒。底に小さい車輪が付いていて、

ゴロゴロと引っ張っていくタイプのヤツだ。


新しいものを手に入れたときは皆きっとそうだと思うが、

彼もまた、部屋の中をゴロゴロ動かしてみたり、

それを引っ張る自分の姿を鏡に映して、「う〜〜ん、いい!」などと、

嬉しさは隠せないようであった。


そして、昨日。キャリーバッグを前に、彼が一転して頭を抱えていた。

「あれっ?あれ〜?」と呟きながら。

聞けば、セキュリティーのために決めた暗証番号を忘れて、

バッグが開かないと言う。

「おっかしいなぁ〜?あれ〜、何番だったっけぇ〜〜?何番だぁ〜〜?」


何度も繰り返す彼の叫びを背中で聞きながら、私は思うのだった。

付き合ってられん・・・。



おしまい。



...




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