【シュークリーム作成日誌】

2003年02月02日(日) SSS#43「愛の劇場 10000hitリクエスト」

リクエストにより、18歳未満の方はご遠慮下さい。
そういう内容ですので。
読んで下さる方は、以下を反転してください。




【落日桜花】






降り注ぐ、白い花びら。


降り頻る雪のように、舞い降りてくるそれを見上げていると、まるで自分が空へと吸い込まれていくような錯覚を覚える。
彼の肩越しに見える桜。
桜の枝を透かして見える、眩暈がするほどに晴れた空。

「あっちゃん?」

顔の前で、手を振られた。

「考え事は後にして、こっちに集中してくれないか?」
「ん、うん…ごめ…っぅあ!!!」

瀬戸口が思い切り大きく動かしたので、返事の最後は悲鳴になった。
こちらの片足を肩に掛けた瀬戸口には、速水からは手が届かなかったので、掴まるものが何も無い。
伸ばした手が、冷たく湿ったものを掴んだ。
力を込めて握り締めると、くしゃりと潰れる。
厚く降り積もった、桜の花びらを。

瀬戸口がその手を開かせようとして、手を伸ばす。
意図せず腰を深く押し付けられて、華奢な体が鮮魚のように激しく仰け反った。
引き攣るように逸らされた白い咽喉から、細い吐息が吐き出される。

「悪い悪い。ただ、そんなにシーツに懐かないで?
 妬けるから」
「シー…ツ…って?」

この広い公園のどこにも、そんなものは見当らない。

「だから、これ」

瀬戸口は、自分の側で踏みにじられていない花びらを一掬い、掬い上げる。

「薄ピンクのシーツだろ?」

新婚仕様だ。と浮かれている瀬戸口を嘲笑するほどの余裕は、速水には無かった。
通称松葉崩しというこの体勢は、女性とは違う身体の速水には辛かった。
不自然に捻られた腰が軋む。
息が苦しいのは体勢が苦しいためか、快楽の為なのか、もう訳が判らない。
普段とは違う所を、違う角度から擦りあげられて、息も絶え絶えになる。
先程、もっと緩やかに絶え間なかった心地良さの中で見とれた桜の枝が、遠く小さく見えた。
花びらが風に吹かれる、ざぁ…という音が、濡れた音と交じり合う。


―――この桜を、明日には僕達が散らしてしまうのだ。


熊本城戦を前に、桜を見たいと言ったのは速水。
この場で、今すぐ速水を抱きたいと言ったのは瀬戸口。

明日にはこの美しい景色も焼け野原になる。
花見をする人など誰もいないから、この景色は永遠にふたりだけのものになる。

こんなに綺麗なのに、速水に覆い被さる瀬戸口には散った桜しか見えない。
そして瀬戸口が見ているのは、桜の花びらですらなく、速水だけだった。
薄く涙を浮かべる青い大きな瞳や、揺すられる度にゆらゆらと揺れる柔らかな黒髪や、快楽に染まった細い襟足や、上気した耳朶や、柔らかそうな白い頬や、甘く色づいた薄紅の唇を、見ている。

自分を見てくれるのは嬉しいけれど、桜ももう少し見て欲しかったと速水は思った。
足を担ぐ肩を入れ替えられ、更に苦しくなる。
それと同時に、頭がおかしくなりそうな感覚が下肢から背筋を這い上がり、思考を奪う。
何も考えられなくなりながら、速水は鳴いた。

桜の時期には、まだ早い。
それでも貴方と一緒に、綺麗な景色を見たかった。

速水が同調技能で無理矢理桜を満開にしたことを、彼は知るだろうか。


涙に曇る視界のなかで、緋色に近い明るい茶色の髪を、深い紫の瞳を見上げる。

貴方に出会うまで世界に色はありませんでした。
血の赤と、白衣と壁の白しか僕は知らなかった。
この薄紅の桜も、貴方と出逢ったからこそ、綺麗と思えるもの。


桜が舞い落ちる。
告げられないすべての罪を隠すように、密やかに。






end

――――――――――――――――――――――――――――――
10000hitありがとうございました!
リクエスト内容は「松葉崩し」で「松葉なだけに、自然のあるところで青○」
何でも書きますよvとは言ったものの、こんなに何でも良さ絶頂なリクを頂くとは思いもよらじ(笑)
表の日記に載せるので、エロは控えめにしました。

とりあえず、こんなのでもよろしければお納め下さい。
リクエスター宇多津にか様。ありがとうございました!!
またオフでも飲みに付き合ってくださいね(私信)


このお話がお気に召しました方は



そんなわけで、週末遊んだりガッコ行ったりで、全くネット活動不可能だった神矢。明日は節分ですが、ストーリーは私の心の中です(笑)
2、3日遅れてのアップになると思われ。
木曜日の「ドキッ☆美女だらけの鍋大会」レポ。および、土曜日の「美女と美少女に囲まれて鹿肉刺身焼きツアー」のご紹介は、放送時間の関係上(?)後日のご報告となります。
ふふふ…楽しかったですよーvvv


相変わらずメールのお返事が遅れておりますが、どうかお待ち頂けると嬉しいです;
本当に私は宣告どおり、明日に同盟を立ち上げられるのでしょうか。不安…。



2003年01月29日(水) SSS#42「瀬戸口 コネタ」

【的確な人事についての考察】






善行がそれを見たのは、放課後の事。
若宮を探してグランドへと移動中の出来事だった。

ズッバァァァァアン!!

それは、思わず善行が足を止めたほどの、切れのある音だった。

ズドムッ!
ギシッ…
ズバァァン!

誰かが、サンドバックを殴っている。
若宮や来須の訓練になら、善行も何度か付き合ったことがあった。
歴戦の彼らがサンドバックを叩く音は、まるで砂鉄の詰まった皮袋を鞭で思い切り殴るような鋭い音がしたものだった。
しかし、今の音は、彼らのものより数段力強かった。

「一体誰が…」

その実力如何によっては、スカウトに新たな人材を用いるのも悪くないかもしれない。
常に小隊の戦力増強を考えている司令官は、伊達眼鏡を白く光らせながら鉄棒の彼方へと視線を走らせた。
そして…ぽかんと口を開けた。
手から書類がばさばさと落ちて風に吹き飛ばされる。
そんな事に構っていられないほど、善行の驚愕は深刻だった。

「にゃんっ!」

ダムッ!

「にゃにゃっ!!」

ズバンッ!!

サンドバックに何度も猫パンチを食らわせ、熱心に体力の訓練をしているのは…ブータだった。

「…ぶ、ブータが訓練を…。
 猫にすら危機感を覚えさせる…この小隊って一体…」

一瞬遠い目をした善行が、ブータを見る。
見る。
よく見てみる。
その時、参考のためと気紛れに垣間見たパラメーターのために、ひとりの男の運命が変わった。

ブータ:体力 2300

善行の中で、何かが崩れ落ちた。



***



「おはようございます。朝早くからすみません。
 ブータ君は今日から、スカウトで働いてください」

「ナーゴ」

「そして…来須君を無職にするのはあまりにも勿体無いですからね。
 来須君は今後、オペレーターで働いてください」

「……」

「教室に戻って構いませんよ」


ブータはピンとしっぽを立てて、来須は終始無言のままで、司令室を出て行く。
後に残された善行は、満足げにインスタントのコーヒーをそっと啜り…。


「待て」

「?」

「俺は?」


ああ…と、善行はカップを机に置いて、ポンと手を打ち合わせた。
瀬戸口の刺すような眼差しからさり気なく視線を逸らす。


「すっかり忘れてましたよ。瀬戸口君が押し出し無職になってしまうのでしたね。
 いつもボンクラ気味な貴方がよく気付きましたね」

「…お前が呼び出したんだろうが」

「そうでしたっけ?」


善行はゆったりと顎の下で手を組み合わせ、涼しい顔をした。


「さて…本題に入りましょう。私としても人員を遊ばせたくはないので。
 猫の手も借りたい場合ですから」

「…」

「瀬戸口君は今後、小隊のマスコットとして働いてください」

「…へ?」

「以上です。どうしました?教室へ戻って構いませんよ」

「どうしましたじゃないって!何だよマスコットって!!」

「ブータの今までの職ですよ」

「知ってるって!そうじゃなくて…」

「安心してください。小隊旗もそのうち、猫マークじゃなくてたかちゃんマークしてあげましょう」

「要らんことするな!!!!」


こうして、瀬戸口の「職業:小隊マスコット」としての日々が始まったのだった…。





to be Continued?
――――――――――――――――――――――――――――――――――
続きません(笑)
>小隊マスコット
それにしても、ヒマそうな職ですね…。

午前3時にこんなもの書いてる私も如何な物か。
現在の多忙ぷりは来週火曜あたりで一段落の予定。次はどうなるのかな(怖)




2003年01月28日(火) ちょっと頑張ってみたよ。

月曜出社早々、上司に呼ばれる。
「今週は物凄く忙しいからね。覚悟してね」と爽やかな笑顔と共にとんでもない宣告を受ける。
が、すみません。
私は一日だけ定時で帰ります。その日だけはどうしても残業出来ないんです〜!
と、私も負けじと(?)宣告。

結果。3日分の仕事を2日で終わらせてみるトライアル中。
そうやって、週後半の仕事に一日足してやろうという腹です(単純計算)
上手く行ったらご喝采☆

メールが大変滞っている事、どうか平にご容赦を。



2003年01月26日(日) あたたかなお皿

おお…このところ毎日日記書いてる…凄い!(神矢さん、自分の発言に疑問を持つように。)


あったかいセトハヤについて考慮してみる。
あったかいて何だろう。

ふんわり、ほわっと。ぽややんな方向?

速「瀬戸口さん…」
瀬「どうした?」
速「あのね…背中…寄っかかってもいい?」
瀬「それぐらいいつでもどうぞ」
速「ありがと…(こてん)」
瀬「……(可愛いv)」
速「広くて、あったかいねv瀬戸口さんの背中」
瀬「そう?」
速「ん。僕…瀬戸口さんの背中大好き…」
瀬「そ、そうか…(照れ)」
速「…」
瀬「なあ、速水…」
速「…」
瀬「好きなのは、背中だけ?」
速「…」
瀬「速水?」
速「…くー…」
瀬「なんだ。寝ちゃったのか…」

答えて貰えなかったのは残念だけど、ちょっと幸せな瀬戸口さん。



それとも。
恋未満の微熱な方向?

速「はい、今日はどうしましたか?」
瀬「昨日から熱っぽくて…」
速「今朝は体温は計りました?」
瀬「37.2℃でした。でも先生にこうして会ったらまた熱が上がってきたような。
  動悸も激しくなって来ましたし。はっ!もしかしてこれが恋…?」
速「微熱ですね(聞き流す)一応ビタミン剤ぐらい出しておきましょうか」
瀬「それが…俺、平熱が35.4℃なので、今もかなり辛いんですが…」
速「君の平熱なんて知ったこっちゃありません」
瀬「ひどっ!」
速「はい、次の方ー」

瀬戸口、泣きダッシュ。

…なんか「あったかい」とは違うような(笑)


あったかいセトハヤ。
読んだ後に、胸がほわんと暖まるような、幸せなお話でしょうか。
私は読むのは大好きな方向ですけれど、書くのは難しそうですね…。

SSの神様〜、きたりませ〜。







2003年01月25日(土) SSS#41「瀬戸口→水色速水 ギャグ6」

【瀬戸口隆之受難の日 6】




いつもはピンクの髪をした少女が座っている指揮車の運転席に、今日は艶やかな黒髪をショートにした、才色兼備の美女が座っている。
遮蔽物の多い市街戦では、最前線に出ない限り指揮車が狙い撃ちにされる可能性は少ない。
ただ今回、指揮車は指揮・誘導のためではなく野次馬のために出撃しているので、指揮車は見晴らしのよい高台に停車していた。
高出力のレーザーで狙撃される危険はあったが、危険を恐れるようでは奥様戦隊など勤まらないのである。
流石に遠くて、士魂号に乗っているわけでもない瀬戸口の姿は、豆粒のようにしか見えない。
だが、キタカゼゾンビやキメラなどの中型幻獣が、次々と蒸発するように消えていく様は手に取るように判った。

「なんだ。本当に強いんじゃないの…」

双眼鏡から目を離し、原が呟く。
その傍ら、つまり指揮者の横で、善行は肩をすくめてみせた。

「だから、絢爛舞踏なんですよ」
「え?絢爛舞踏って…絢爛舞踏なの?つまり勲章の?」
「他にありますか?」
「ほら、最近日曜日の朝7:30頃からやってるじゃない。子供たちよりもお母さんたちに大人気のヒーローもので…」
「ああ、時空戦士ゴージャスタンゴですか?」
「そう、それよ。…詳しいわね。
 それの変身前のお兄さんが瀬戸口君なのかと思ったのよ」
「それは…」

善行は言葉に詰まって、忙しく思考を巡らせた。
あんなに大々的に小隊の前でバラしてしまったが、一応絢爛舞踏のことはトップシークレットである(はずである)。
この場合、瀬戸口をヒーロー物のお兄さんにしてしまった方が、善行の身の安全には得策だろう。
1/1000秒ほど、瀬戸口の立場と自分の命を秤にかける。

「ばれてしまっては仕方ありません。
 瀬戸口君は、そのゴージャスタンゴ役のお兄さんですよ」

瀬戸口はあっさり捨てられた。
原は長い睫毛を瞬かせ、小首を傾げる。若宮ならずともメロメロになるであろうほど愛らしい。

「じゃあ…戦闘が終わったら瀬戸口君にサインをもらっておかなきゃ。
 奥様方にきっと売れるわよー」

言ってることは少しも愛らしくない。
再び原が双眼鏡を向けた先では、本物の絢爛舞踏が両手に太刀を持って舞うように戦っていた。
だが、絢爛舞踏が舞っている割りには、戦闘は遅々として進まない。
理由は明白で、瀬戸口は一体敵を倒すごとに、こちらに向かって手を振っているのである。
勿論それは善行に向かってではなく、近くの廃ビルの屋上から見物しているであろう、「可愛いあっちゃん」に向かってのことだ。

「あっちゃーんvvv今の見てた!?」

ぶんぶん。瀬戸口は満面の微笑みで手を振っている。
馬鹿である。
速水の方も律儀に振り返しているらしく、遥か38階のビルの屋上で、何かが動くのが小さく見えた。
戦闘の様子をよく見たいという速水を、自家用ヘリでそこまで連れて行ったのは当然準竜師だ。

『瀬戸口さんて、凄く強いんだね。僕、びっくりしちゃった。
 頑張ってね!瀬戸口さん』

使い古しのスピーカーを通して聴こえる声はやや掠れていたものの、速水の声はやはり聞くものの腰が砕けるほどに可愛らしい。
瀬戸口の士気は弥が上にも高まり、振るう切先は流星の如く冴え渡る。
勿論すべて、速水にイイ所を見せるためである。


状況が変わったのは、戦闘が始まってから30分ほどが経過した頃だった…。


『ん…?あっ!!』


「あっちゃん、どうした?」


瀬戸口機の動きが止まる。
今日だけオペレーターを買って出ている遠坂が慌てる。

「ちょっ…瀬戸口君!立ち止まってないで!!スキュラの射程内ですよ!!!」

瀬戸口は当然のように遠坂の言葉なんか聞いちゃいなかった。


「あっちゃん!?」


『あっ!や…勝吏さん、こんなとこで……』


「!!?」


『二人きりしかおらぬ。良いではないか』
『で、でも……』
『久しぶりだろう。そろそろ辛いのではないか?』
『あっ』
『ほら、こんなに固くなっているぞ』
『んっ!』


突然善行がデジカメを手に走り出す。

「ちょっと!どこ行くのよ」
「奥様として、こんなスクープを逃すわけにはいきませんよ!
 必ずや衝撃の映像を我が手に!!」
「…」

呆れて見送る原達を尻目に、善行は廃ビルの中へと飛び込んだ。
ロビーを見回すとエレベーターが目に入ったが、電気の供給がストップしている今、当然のように動かない。

「仕方ありませんね」

目の前に、非常階段へと通じる防火扉がある。
スクープ映像の在り処は、地上38階。
善行は、意を決して重い扉を押し開いた。



***



指揮車では、相変わらず瀬戸口の戦闘の模様と、速水と準竜師のラブラブアワー(?)が同時中継されている。
原は明後日の方向を眺め、遠坂は自分の任務を遂行しようと必死だった。


「せっ、…舞踏機!
 呆然と立ち竦んでないで動いて下さい!!」


『いやっ…はぁん。……んっ』


「舞踏機被弾!」


『やんっ………つっ!』
『痛かったか?』
『ん…ちょっとだけ』
『やめるか?』
『や、ダメ…こんな中途半端で止めないでぇ………』
『よし』
『くっ………ああああんっ』


「舞踏機被弾!!めちゃめちゃ被弾してます
「…」
「隅っこに追い詰められて、しゃがみキック連打。ああ…こりゃハメですね」
「…瀬戸口君たら…」
「あっ!…あーあ…ミノタウロスに13コンボぐらい食らってますよ」


『ここが気持ちいいのか?』
『ぅん』
『それともここか?』
『ふぁんっ!…ん…気持ち…いい…。
 …もっと……して…ぇ』


「ああ!出た、超必殺技!!舞踏機、戦闘不能!!!」


原は大きな目を半目にしてモニタを凝視した。

「これ、どう見ても受けた攻撃以上にダメージ食らってるわよ…」

その言葉を受け、遠坂は沈痛な面持ちになった。

精神的ダメージが大きかったようです
「ああ、まあ…そうでしょうね…」

艶やかな黒髪をかき回し、美貌の整備主任は深々と溜息をついた。

「さて。帰りましょうか」
「え!?」
「見るもの見たし」
「で、でも瀬戸口君は…?」
「勿体無いから誰か拾って帰るでしょ。私はいらないわ」
「…」
「あ。もしも戻ってきたら、遠坂君サインもらっといてね」
「…は……かしこまりました……」


***


一方その頃、善行は38階の階段を昇りきっていた。
奥様戦隊の根性や恐るべし。
幾ら彼が鍛えているとはいえ、平地を走り続けるのとは訳が違う。
足はがたがたで膝は笑っているし、ミノの鼻息も斯くはあらんとばかりに激しく息も切れている。
しかし、彼の目指す物はもう目の前。
そのドアの向こうにあった。
ドアの鍵をライフルのゼロ距離射撃でふっ飛ばし、彼の望む光景をカメラに収めるべく飛び出す。
凄まじい物音と共に現れた善行に、一斉に振り返る準竜師と速水。
善行の手から、カメラがぽとりと落ちた。
ふたりの服装は、一分の乱れも無い。
接触といえば、椅子に座った速水の肩に準竜師の手が置かれている、ただそれだけである。
善行の人差し指が、ぶるぶると震えた。

「な…何をしていらっしゃったのですか……?」
「何って…肩もみだが」

善行はその場に昏倒した。




つづく。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
善行にとっても受難の日だったみたいです。
あと1話ぐらいで終わらせようと思ってたのに、おかしい…こんなはずじゃ…。



2003年01月24日(金) 新宿で遊ぼう。

昨日の日記で「金曜日ヒマだーっ!」とぼやいていたら、いいことがありましたv
心優しい清楚な瀬戸口スキー・ゆきふみ嬢がヒマならお付き合い下さるとご連絡をっ!(喜)くっ;いい事ってあるんですね。
更にゆきふみさんが宇多津さんも誘って下さって、神矢は美人ふたりと深夜まで腐女子トークを繰り広げる事が出来ましたとさ☆

それにしても金曜日の新宿は物凄く混んでいますね。あんま新宿行かないから判らないんですが…。結構遅い時間に行ったのに、目当てのお店は何処も一時間待ちでした。
これは新宿で飲む時には二次会のお店も予約しておくべきなのでしょうね…。
5時からとかで飲み始めると、一番混んでる時間帯に追い出されちゃうし。どこも二時間制だし。
でも私達は、2時間の時間切れぎりぎりに飲み物を頼んだりして、結局3時間半居座りましたv(←姑息)
話題はほぼ、下ネタでしたけれどねv(えー!?)

しかし「炭火BAR 集」はどこにでもあるのに洋酒の品揃えが結構良いですね。
ボウモアまで普通にメニューに載っていたのでびっくりしました。

ボウモアはスコットランドのアイラ島で生まれたシングルモルトウイスキーです。
別名"海の匂いのするモルト"なんて呼ばれています。
非常に個性が強いので、こういう所謂チェーン店では置いているところは珍しいと思うのですが…。
蒸留するときに潮の香りの染みこんだ泥炭を使うので、海の香りがするのだといいます。

カクテルも頑張ってくれますし。
一度飲みたかったジャマイカ・マティーニも、レシピを言ったら作ってくれましたv
ドライマティーニはジンベースだから、私にはちょっとキツくて飲みづらいのですが、これはホワイトラムベースだから凄く口当たりが柔らかくて飲みやすいのです。

作り方はドライマティーニと同じで、ジンとドライベルモットを、ホワイトラムとシェリーに代えて貰います。
スクイズするのもレモンの皮の代わりにライムの皮を使い、オリーブではなくライムピールを沈めます。
マティーニの舌を刺すような感じが無くて、ラム本来の甘みのためか、とろんとまるい味に。
ライムの香りが後味をすっきりさせる、美味しいカクテルでしたv

それから…「オペレーター」も作って下さるようですよv
メニューには載っていませんでしたが、新宿店では出来るようでしたので、皆様お運びの際にはぜひ一度試してみては如何でしょう。





2003年01月23日(木) SSS#40「瀬戸口×速水。ギャグ?」

【HOME SWEET HOME】




吐く息が白く曇る。
暖房器具は足元の電気ヒーターだけで、それもこんなに広い空間では殆どその用を為さない。
膝が小刻みに震える。
かじかむ指で人工筋肉の接合部を摘もうとして、また失敗した。
溜息が出る。
苛立つほどに、痺れて自由にならない指先。
小さな両手を口許に当てて、はーっと息を吹き掛けた。
一瞬だけ温かくなって、息の含む湿り気の分だけ、もっと冷たくなる。
両手の指をぎゅっと握り締め、速水は目を瞑った。
夜半を過ぎたハンガーに、人気はない。

ふわり。
覆い被さる温もりは、白。
白いコートを着た、瀬戸口。
女物のように瀟洒なデザインのそれのせいで痴漢に遭ったと、不機嫌極まりない声でぼやいていたのはつい先日のこと。
それを知らずに、夕焼け色の髪に映えてとても似合うと速水が誉めたのに他意は無かった。
でも、速水がそう言ったので、瀬戸口は大嫌いになったはずのそのコートを律儀に着てくる。

「こんなに寒いのに、もっと寒いハンガーなんかにいるもんじゃないよ。
 カッコ良いおにーさんと一緒に帰ろう」

瀬戸口は充分カッコ良いけれど、自分でそう言うところが胡散臭いと速水は思う。

「でもまだ調整が終わって無いから…」
「明日でも出来るだろ」
「明日になる前に出撃があったら困るじゃない」
「なら尚更。パイロットが風邪引いたらどうにもならないだろう」

コートの前を開いて、速水をすっぽりと包み込む。
青年は抱き締めた彼の冷え切った手を取って、自分の首筋に押し当てた。

「瀬戸口さんっ。冷たいでしょ…」
「ん…。でもこうやってるとお前は温かくない?
 ここ、血が通ってるから温かいと思うんだが」

とくり、とくり。
速水の指先が触れた薄い皮膚の下に、暖かな鼓動が通っている。
黙ってぼうっとそれを眺めている速水の目の高さが、瀬戸口の咽喉の高さだ。
少しだけ視線を上げると、整った口許が見える。
半月型に微笑んだそれが。
掴んだ手を、今度は微笑んだ唇に当て、淡紫の眼が細くなる。

「首も温かいけれど、口の中はもっと温かいと思う…」

整った薄い唇が、細い指先を軽く食んだ。

「試してみる?」

真っ赤になって勢い良く跳び退る少年に、瀬戸口は今度は声をあげて笑った。

「冗談だよ。ほら、帰ろう。
 お前さんが帰らないなら俺も帰らないぞ。
 俺が風邪を引いたら、速水に責任もって誠心誠意24時間看病して貰うからな」

瀬戸口の妙な脅しに屈服する速水。
しぶしぶ片付けを始める。
それを手伝いながら、瀬戸口はさり気ない口調で訊いてみた。

「今日、速水の家に泊まってもいいかい?」
「なんで?」
「ふたりで家に居た方が、暖房が節約できる。
 人間の体温ていうのは馬鹿にしたもんじゃないぞ」
「…要するに僕を湯たんぽ代わりにしたいってこと?」
「身もふたも無いな」

思わずがっくりと項垂れる瀬戸口の広い背中をぽんぽんと叩いて、速水は笑った。

「いいよ、僕も君を湯たんぽ代わりにするから」

素直に喜ぶべきか悲しむべきか。
複雑な表情を浮かべる美青年。
速水は彼を促がしてハンガーを後にする。
気付けば雪が降っていた。
ひらり、ひらり…。
羽毛のように舞い降りる白いもの。
耳が痛いほどにしんと冷たい空気。

手袋をしていない速水の手に、暖かいものが被せられる。

「…何これ」
「寒いだろうからさ。あいにく手袋ないから、くつし…っ」

最後まで言い切る前に、瀬戸口は蹴られた。
倒れた彼の背に、純白の靴下が一揃い、投げ捨てられる。
速水はそのまま帰った。
瀬戸口の上に、雪はしんしんと降り積もる…。


***


瀬戸口は風邪をこじらせ、それから一週間学校を休んだ。
しかし彼は幸せだった。

「あっちゃん、雑炊に葱は入れないでくれ…」
「もう入れちゃったよ。ついでに靴下も入れとく?」
「すみません速水さん。もう好き嫌い言いません」
「よろしい」

尊大に頷く速水に神妙な顔をしてみせ、瀬戸口はこっそり笑う。
怒られようとも苛められようとも、速水が構ってくれるのが嬉しくてならない。

「何笑ってるの?」
「何でもないよ」
「何でもなくて笑ってるの?」
「あっちゃんが側に居てくれて嬉しいなあって」
「ば、馬鹿じゃないっ!」

いつもは一人ぼっちで寝に帰るだけの家。
けれど今、ここは世界一のスイートホーム。





Fin
――――――――――――――――――――――――――――――――





またインフルエンザが流行っているようですねえ。
私の周囲にも空席が目立ちます。インフルエンザの猛威で明日の飲み会も延期に…。くっ;
ま、あまりお話したことのない人と二人きりで飲みに行くのも、不安ですしね(実は人見知り)
女の子がいっぱい居た方がいいので、また来週のお楽しみにします。

あー、でも金曜の夜が暇になってしまった…。
素直にウチに帰れという何者かの意思を感じますが、遊ぶぞーという気分だったので素直になれないお年頃(何?)
どうしようかな…。


私信:例の会。受付順調。お一人様のみご予定が付かないとの事。
   明日には皆様にご連絡を。


それから、メールのお返事は週末になってしまいそうです。
それと、宇多津にかさん(名指し)
10000hit申告ありがとうございましたv
SSSですので、リクを頂けばすぐに書きあがると思われます。
どうぞ宜しく。


 < 過去   もくじ  未来 >



My追加

[MAIL]