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『木馬のぼうけん旅行』でおなじみの、A・ウィリアムズが描く、 もうひとつの、冒険する一匹のお話。
魔女の猫になるべく、魔女猫から生まれたゴブリーノ(男の子)は、 どうも、生まれたときから、魔女猫というのがしっくり来ない。 どうしても、彼が願うのは、安らかな家庭におさまる「台所ねこ」なのだ。 どだい、悪いことをするのが嫌いなので、悪への向上心もない。
だいたい、容姿だってちがう。 黒というより微妙な縞柄だし、足は一本だけ先が白、 瞳はきれいなブルー。魔女の猫はまっくろけのはずなのに。
素質のなさを見限られて置いてけぼりにされたゴブリーノが、 つぎつぎといろんな人たちの世界に飛び込んで、 嫌われたり好かれたり、魔女猫の素性がバレて受け入れられなく なったりしながら、夢のわが家を求めてさまよう。
木馬と同じく、最後にはちゃんとハッピーエンドが待っているが、 小さなこねこが体験する気苦労や失望は大きく、 それでも前向きなゴブリーノと、その可愛らしさに 「それからどうなったの?」とページが進む。
道中には、イギリスの伝統的な夫婦人形喜劇、 パンチとジュディ一座も登場するし、 ゴブリーノは塔の中のお姫様と親しくなったり、 船の上で雄々しく戦ったりもする。
ああ、どこかに猫のいない、猫を探している家は ありませんか?と心配しながら、 ゴブリーノの座るはずの台所を思い描く。 猫のためのちょっとした場所と、ミルクのお皿。 ああ、うちだってもう、二匹の先住猫がいるから。 ゴブリーノの場所をあげる権利は、私にはないのだ。
夕ごはんの時間です。 ねこが、家のまんなかに、ぬくぬくとおさまる時間、 ねこのいない家が、さびしくかんじられる時間です。 でも、家のないねこは、もっと、さびしいおもいをしているのです。 (引用)
さまよう猫に家を、与えたまえ。 (マーズ)
『魔女のこねこゴブリーノ』著者:アーシュラ・ウィリアムズ / 訳:中川千尋 / 絵:平出衛 / 出版社:福音館書店2004
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管理者:お天気猫や
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