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ヘンリー八世の治める一六世紀のロンドン、とある工房。 そこでは、強く美しい「よろい」を作る職人一家が、 にぎやかに、丁寧に、ささやかに暮らしている。
軒に、青いイルカの像が彫られている家。 そこに田舎からやってきた少女タムシンは、 街のなかにほんとうの居場所がないことを悲しむが、やがて 同じような孤独を抱えるいとこの少年、ピアズと、二人だけにわかる 思いを交歓させながら、居場所を見つけてゆく。
郊外へピクニックに行ったり、 市場へ買い物に行ったり、 お祭りの日、職人たちのケンカがあったり、 女王様に声援を送ったり、 造船所を見に行ったり、 お茶に招かれたり。 ハロウィーンやクリスマスも訪れる。
通りには赤いリンゴや焼き栗を売る店が出はじめ、 凍えるように冷たく青い夕闇が、夜ごとに、前夜より 早くやってきます。 (中略) 暖炉の明かりの中で過ごす長く暗い夜は、 古い物語のための時間だったからです。 そうしてそういう夜の中の一番は、クリスマス・イブを 別にすれば、たぶん、ハロウィーンの夜でした。 (引用)
生活するということは、いつの時代でも、こんな風なのだろう。 人の幸せや悲しみも、いつの時代であっても、 深さに違いはないのだろう。
サトクリフはタムシンと同じ目線でペンを走らせながら、 「あきらめないで」とささやいてくれる。 タムシンとピアズが一緒に見た夢。 思いの深さが、その人の人生を導いてゆく。 そんなことを、タムシンたちの暮らしが教えてくれる。 (マーズ)
「イルカの家」著者:ローズマリー・サトクリフ / 訳:乾侑美子 / 絵:C・ウォルター・ホッジズ / 出版社:評論社2004
2004年01月20日(火) 『死体が多すぎる』その2
2003年01月20日(月) 『町かどのジム』
2001年01月20日(土) 『わたしの日曜日』&『とっておきの気分転換』
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