ヒトリゴト partIII
 Moritty



不条理

2004年01月19日(月)



陶磁器やオペラで知られる美しいドイツの都ドレスデンは、1945年連合軍の空襲により一夜のうちに焼け野原となってしまった。当時、捕虜収容所にいたカート・ヴォネガットは、そのときの実体験をもとに「スローターハウス5」という小説を書いた。SF小説ではあるけれども、テーマは戦争の不条理というところだろうか。著者の人生に対する絶望感の漂う作品だった。

イラクに派遣される自衛隊がインタビューに答えるシーンと、大虐殺を連想させるインフルエンザの鶏が埋められるシーンがテレビに繰り返し流れているのを見て、スローターハウス5の中で主人公が言うセリフを思い出した。確か、こんなのだった。

「願わくば、私が変えることができないことを受け入れる落ち着きと、変えることが出来ることを変える勇気と、その違いを見極める知恵を授けたまえ」

何故か、とても不安な思いに駆られる今日この頃です。

(写真:火事のように真っ赤な夕焼け)

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