ちきちき日誌




2001年07月16日(月)
赤信号ちかちか

今日、昼頃携帯にYさんからメールが入っていた。
Yさんというのは夜バイトで一緒だった、わたしより少し年上の主婦のヒト。
けれど、彼女は少し前に☆さんとケンカしたのがきっかけでやめてしまっていた。
久し振りだなぁ、なんだろう、とメールを見ると内容はこうだった。
「久し振りにウチに来てお茶でも飲まない?」
今のわたしにはハッキリ言ってそんな事をしている暇などなかった。夏コミ新刊用原稿の〆切が迫っていて、睡眠時間を削って作業しているのにもかかわらず、作業が予定より進んでいなかったのだ。
「誘ってもらったのは嬉しいんですけれど、今睡眠時間削ってるほど忙しいのでまた誘って下さい」
とお断りしておいた。

夜バイト終了後。
いつものように会社出口の守衛さんに挨拶してバス停に向かおうとすると、2人のヒトに声をかけられた。
それは、Yさんと今日は非番だったみわさんだった。
「あー、いたいた。良かったぁ〜」
ビックリして訊ねるとみわさんもわたし同様にYさんに誘われて来てしまったらしい。2人はダメモトでおいらを誘いに来たのだった。
「もとちゃんもいこうよ」
「せっかく会ったんだし」
確かに、間接的にはお断りしてしまったが、最後の挨拶もできないままお別れしてしまったので(ケンカした日わたしは非番でおらず、翌日Yさんは辞めてしまったから)こうして久し振りに会ってしまうと心が動く。
「明日休みだからいいかな…」
とYさんの家にお邪魔する事にした。

それが、運命の別れ道だった。

Yさんの車でYさんのおうちへ。
Yさんは旦那さんと3才のお子さんとの3人家族。だが、家には誰もいなかった。
旦那さんはいつも仕事で夜が遅く24時頃に帰ってくると聞いていたのでいいとして。
「お子さんはどうしたんですか?」
「あー、子供ね〜今熱出しちゃって。実家に預かってもらってるんだー」
…?なぜ実家に預ける必要があるのかな?
Yさんがお茶の準備をしている間、お子さんと旦那さんの写真などをみせてもらっていた。
すると、チャイムがなった。
こんな夜遅くに誰だろう…と思っていると、Yさんがその来客を連れて部屋に入ってきた。
「こんばんわ」
妙に愛想のが良い体格の良い主婦っぽい女性。
「このヒトはわたしの先輩でー…今日は2人にお話があるんだー」
わたしとみわさんは、騙された、と思った。



つまるところ、しの字のつく勧誘だったのだけれども、そこから抜け出すまでが大変だった。
とにかく、しつこい。
講習会のテープを聴かされたり、約束事や基本理念の紙を見せられたり、それだけならまだいいのだけれども(まぁ嫌は嫌だけれど)、これを信じると悲惨な死はないんだよとか、驚くほど良い事続きで、わたしが始めた途端バイトでいいことづくめだったとか、バイトを辞められたのもこのせいだったとか。

いや、別にわたしは彼女が「そう信じている」事には全然抵抗は感じないけれど
(それで本人がしあわせな生活を送れるんであればいいんではないかと思う訳です)、問題なのは、これをすることが幸せで、勧誘している自分は正義の味方よろしく良い事をしているんだと、周りに及ぼしている害に気付いていないこと。

今「そう信じている」事には問題ないと書いたけれども、それを他人に持って言った場合は別だ。ひとりでやってる分には害がないから構わないけれど、他人に勧めた場合は違ってくる。嫌がっているのに勧めるのは立派な害だ。しかもこんな形で。

わたしとみわさんは考え方が似ていて、2人してこの人達の信ずるものや恐れているものには何の価値も見出せなかった。つまるところ「人生良い事も悪い事もあるのが当たり前だし、あったらあったで自分の事なのだからしょうがない」と思っているので、そういったモノはいらないのだった。

わたしたちはずっとそうやって言い続けたにも関わらず、向こうはひかず、「やってみなければわからないから1度で良いからやってみて」と言い続けるのだ。

その中でげんなりしたのは、みわさんの親御さんが他のそういったモノを信じていると知った途端、とにもかくにもみわさんをこちら側にこさせようとしたこと。(どうも敵対しているモノだったらしい)
終いには「これをやって親御さんの考えを改めさせようとは思わないの?」とか言い出す始末で、みわさんは明らかに怒っていた。
わたしもこれはひどいと思った。

そして、さらにわたしたちを怒らせがっかりさせたのが、外に”この人の見届けがあればすぐにこちら側に来られる”人を待機させていたこと。計画的だったのだ。

わたしとみわさんはすぐにでも帰りたかったのだけれども、アシがないので帰るに帰れず、そんな間に電車もなくなってしまい、解放されたのが午前1時近く。

原稿をやらねば…と思ったのだけれども、すっかり疲れ果ててしまいその日は帰ってすぐ5時間くらい眠ってしまった。

わたしたちは利用されたのだ。
いい人だと思っていたのに、その事の為には計画的に姑息な手段にでるんだ。
ショックだったし、悲しかった。がっかりした。

そして、わたしはコミケ前にはこういう思いをするジンクスでもあるんだろうか、とちょっと皮肉っぽく思った。

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