ちきちき日誌




2001年07月31日(火)
暗黒の海、出現

いつものようにみわさんと駅で夜バイト先へ向かうバスを待っていた。
「もとちゃん。土砂崩れあったのしってる?」
「え?」
そんなことがあったんだぁ。最近ニュースどころか忙しくてTVも見てないからなぁ…。
「バス遅いね」
「あ、やっぱり交通規制やってるからだよ」
………え??交通規制??
「会社近くの専門学校の横の今やってない精神病院あったでしょ?あそこで土砂崩れがあったの」
「えええええええーーーーーっ!!!」


話は過去に遡ります。
あれはわたしが会社に入ってから1年ぐらい前までの事。

その頃は仕事が終わってから、バスが来るまでの乗り合わせ時間が長かった。
しかし、そこは田舎で周辺に暇を潰せる所もなく、また会社のロッカーや待合室で待っている気もしなかったので(室内で待っているとまま早く来たバスに乗り遅れてしまう)、わたしが暇つぶし対策としてしていたのが、次のバス停まで歩く事。

それでも時間が余ってしまうのだけど、まぁ運動にもなるし、会社の前でボーッとしているよりはいいかなと、それを頻繁にしてました。
その、次のバス停前にあったのが、例の精神病院跡。
コンクリート3階建ての廃屋で、周辺は高さ3mはあろう木の塀で囲われていて、窓は鉄格子がはまっている。暗くてよくわからないけれど建物の中には土とかが入ってるもよう。とっても怪しい。というか怖い。(夜だし)
「なんじゃこの建物は…」
後で会社の人間から聞いたトコロによると、どうやらここは財政赤字で閉鎖になった病院で、閉鎖はしたけれど、建物を取り壊すお金がないので放置されているという事らしい。
会社の人間や地元では有名なオカルトスポットだったらしく、おいらの目の前で胆試しする輩がいたほど。(おいら的には中に侵入しようとしてるその若者集団の方が怖かったんですが)
その後この付近で危険な包丁らしきものサラシ巻き男にあったりしたのと、バスのダイヤ改正・運営変更などで待たなくても良くなった為、わたしはそこを訪れる事はなかったのですが…。


そんなコトになっていようとは。
…確かに若者どもが乗り越えていた建物の向こうになんか山みたいなシルエットがあったかもしれない。
みわさんに聞くとTVではえらい騒ぎだったようで、全国ニュースで流れて何度もやっていたという。(ちなみにそれからもう2日経っていた。…原稿で時事にうとくなってしまった自分って…)
ちなみにわたしが見た山みたいなのは工事用の土砂だった。
事情があって、その建物内に運びこまれ続けていたのだそうだ。そしてそれがたまりにたまって…今回の騒ぎになったらしい。
「あれだよ。すごいね」
社内バスの運転手のおじちゃんに言われて窓の外を見ると、遠くに大きな、大きな土でできた段々山があった。周りの民家なんかよりよっぽど大きい。そこかしこの段にショベルカーが見えるのが苦々しい印象。
交通規制で迂回路から遠目でみているのに…山はとてもとても大きかった。


その日、帰りのバスは迂回路を通り、間の駅に停まる事ができなかったのでほぼ駅まで直通だった。



あれから1ヶ月。
迂回路を通る事はなくなったけれど、建物の前の2車線道路は片側しか通れず、片側は土砂を防ぐための鉄屏風で塞がれ、交通整理のおじさんが立っている。

あの土砂はまた積まれなおされ、再び運びこまれ続けている。
建物はもう全て土砂に埋まってしまった。

前回は怪我人こそ出なかったけれど…あれは再び起こるのではないだろうか。その時は……?自分も例外ではない。

この事は周辺の人々に今でも爪跡を残している。


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