おかえりなさい、ほーちゃん!
今日は、病気で夜バイトを長い事お休みしていたほーちゃん(年上)が帰ってくる日だ。
ほーちゃんは6月の終わりくらいに熱を出して早退し、それきり夜バイトに来なくなってしまった。 最初の1週間は風邪だろう、とみんなで帰ってくるのを待っていたのだけれど、待てども待てども来ないし、連絡もないし、メルアド知ってるヒトがメールを送れど返事がなかったそうなので、2週間も経った頃には、わたしたち夕方勤務のなかで、ほーちゃんは『連絡出来ないような状況──大病で入院してしまったりとか──にいるのではないか』という結論に達していた。(黙ってやめるようなヒトでは絶対にないから) 3週間目になって、やっと上の方から彼女が大病で自宅療養している旨伝えられた。 みんなでヒマながらも毎日「いつ良くなるんだろうね」なんて彼女が帰ってくるのを待っていた。
「おはよう〜」 「あー!」 「ほーちゃん!」 「久し振り〜!!」 みんなでほーちゃんの周りに集まる。ほーちゃんは社員の人達や昼のおばさんたちにあいさつしてまわるのが忙しそうだった。
昼勤のおばさんがたも帰り、ほーちゃんも与えられたシール貼りの仕事(動かなくてもいいし、軽い作業)に。そこへ別の仕事のおいらがとおりかかると、話好きなほーちゃんは今まであったことをおいらに話し始めた。 病気で動けなくなってしまった事(歩くのもやっとだったらしい)、大きい病院を2件まわってもダメだった事、病気が思っていたより大病だった事、良くなっても大病だったので家族達が外にほとんど出してくれなかった事、もう完治する事はないのでそれを抱えたままこれからやっていかなければならない事(今のバイトの作業程度なら体調が普通なら問題ないらしい)───ほーちゃんはご丁寧に課長に見せるつもりで持ってきていたカルテ兼紹介状までみせてくれた。 「事務所で課長に会ったから渡そうかと思ったんだけど、もとちゃんに見せてからと思って」 「ありがとう」 今度は逆にこちらがどう過ごしていたか話してあげた。 そしてここ最近の一番の話題であったYさんの話をした。 「もとちゃん達知ってたんだ」 「うん」 「わたしのトコにも来たのよ」 「うん、Yさんがそう言ってたから知ってる。ほーちゃんが一番最初だったんだね」 「うん」 と言ってほーちゃんはその話を始めた。 ほーちゃんの場合はこうだったらしい。 やはりメールで家に誘われたけれど、病気になりたての頃で、動くに動けないからとお断りしたら、『じゃあわたしが車で迎えに行ってあげるから』と言ったらしい。 でも両親に支えられてやっとだからとお断りすると、『わたしが支えていってあげる』とか『そっちの家に見舞いがてら行く』とかかなりなモノだったらしい。 で、やりとりしているウチに”そういうコト”だとわかってかなり話したけれども なんとか断わったそうだ。 わたしたちのところもこうだったよ、と話をすると、ほーちゃんはちょっと苦笑いをして、 「あれは、友達なくす。みんな引くよ」 とゆった。 「そうだね」 本当にそうだ。 これで、Yさんはわたしたちという知り合いを全て失ったのだから。
とりあえず、わたしたちは全員(夕方勤務は今現在5人しかいない)この話を聞いたから、もうYさんがわたしたちの前に現れる事はないだろう。
これで、やっとこの事は終わったんだな、と思う事が出来た。
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