東京の片隅から
目次|きのう|あした
それは小学校4年になる春休みだった。 私は近所の公演で、朝、自転車の補助輪を外す練習を毎日していて、だいたいは母がつきあってくれるのだったが(今にして思うと春休み中も毎日定時に起こそうという親の陰謀だったかもしれない)、なかなか上手く乗れない。走り出しては転び、の繰り返し。 しかし、春休みもほとんど終わりというある朝、急に乗れるようになった。 不思議なのは、乗れるようになった後、乗れなかった頃の感覚が消えてしまうことだ。なぜ乗れなかったのかがまったくわからないのだ。乗れて嬉しい反面、その感覚の転換が妙に気持ち悪かったのをなんとなく思い出した。
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