魂の輝き。 |
旦那は転職をしたことを、前の職場の仲間に言えていない。
転職先が、その職場の元上司(転職した)の会社なので、
『引き抜き』を隠したい上司が、口止めをした。
旦那は仕方なく、みんなに今は求職中だと言っている。
今でも、前の会社の人たちは旦那を飲みに誘ってくれるが、
それをとても嬉しく思って参加しつつも、旦那の心は曇る。
先日、同じく元の会社を辞めた同僚の事を旦那はふと思い出した。
辛い事があったと言っていたけど、元気にしているかな。
他の人からメルアドを聞いて、携帯にメールしてみた。
するとその夜遅く、その人から電話がかかってきた。
旦那はたいてい、携帯をサイレントモードにしているので、
家でテレビを見ていたりすると、たまに気づかない事がある。
私も、バイブに気付いても『パチンコ店からの情報メールだろう』
くらいしか思わず、そのまま放っておいたりしている。
でも、その日バイブに気付いた私は、なぜか旦那に言った。
『携帯のバイブが鳴ってるよ。』
旦那が電話を取ってみると、今日メールを送った相手だった。
元の会社を辞めた人何人かで集まって、自宅で飲んでいるという。
(旦那の会社は社員の出入りが多い。)
久しぶりに連絡が取れて、また今度飲もうという話になったらしいが、
なんと、昼間旦那が送ったメールは、その人に届いていなかったというのだ。
それとは関係なく、向こうから連絡をくれたのだった。
そういうもんなんだなぁ〜と思った。
人と人って、いつもどこかでつながっていて、
会いたいとか連絡を取りたいとかっていう相手を思う気持ちが、
伝わって、共鳴しあっているもんなんだなと。
それは当事者だけのつながりではなく、
いつもなら気付かない電話に気付いた私も、その世界の中にいるんだ。
旦那は新しい会社で、なかなか仕事が軌道に乗らずに大変そう。
それって、新しい会社にきた事をみんなに言えていないからじゃないの?
って言ってみた。
悪い事をしているわけではないのに、隠す事は自分の本意じゃないのに、
それをしなくてはいけない旦那のココロは、ダメージを受けている。
そういうココロの葛藤が、旦那の魂の輝きを失わせているんじゃないか。
旦那は自分を表現して、生身で人と付き合っていくタイプ。
その人間性を理解してくれた人は、ほんとうに旦那を信頼してくれる。
そうやって得てきた人間関係が、仕事場にもお客さんとの間にもある。
先日、旦那が元の会社を辞めたことを知らないお客さんが電話をくれた。
仕事を頼みたいと言うのだ。
お客さんに会社を辞めたことを説明すると、元の会社じゃなくていい、
あなたに仕事を頼みたい、と言ってくれた。
転職先も同じ業種なので、その仕事を受ける事にした。
これってとても嬉しい事だと思う。
私も今まで色んな業者と接する機会があったが、
こんな風に思った経験はなかったなぁ、と。
旦那のココロの葛藤が、魂の輝きを失わせて、
旦那の本来のよさを曇らせているとしたら・・・。
いくら努力しても、気持ち良く仕事ができないのは、仕方がないのかなと思う。
旦那は、自分から友達に連絡を取るということがあまりない。
その旦那が前述の友だちにメールを送ったという事、これは珍しい。
旦那は、この話にすごく納得行くものがあったらしく、
『そうか〜、そういう事なのかもしれない。』と、
感慨深げに考え込んでしまった。
自分が今日友だちにメールしたのは、
きっと話を聞いてもらいたかったからなんだ。
その同僚も会社を辞めているので、客観的に話を聞いてもらえる。
転職した事を言えないっていう辛い気持を、話したかったんだ。
そして、それだけ旦那がその人のことを信用しているっていうこと。
『俺も、辛かったんだなぁ。引っかかってたんだなぁ。』
それまでは、旦那は自分がこの事(転職したと言えてない事)
をこんなに気にしているとは、思っていなかった。
私は、嘘をつき続けるために、また嘘をつかなければいけない旦那を見ていた。
私から見た旦那は、充分苦しそうだった。
旦那は辛すぎて、辛いと感じる回路を遮断していた。
自分が何に苦しんでいるか、何が辛いのか分かると、
それはものすごい納得感と共にココロに響く。
そして楽になる。
その苦しみから自分を解放してあげようと思う。
苦しかったねといたわってあげる事が出来る。
そんな話をしてから何週間後、
上司が、もうそろそろ元の会社にこの事を話すと言ったらしい。
なぜ今まで黙ってたのかと、非難を浴びる事があるかもしれない。
でも、旦那のことを理解してくれる人はきっと分かってくれる。
苦しんでいた事を。
これでやっと、旦那は本来の輝きを発する事が出来るんだと思う。
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2003年08月09日(土)
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