境界をしっかり持つ。 |
今までの自分を振り返っても、簡単に出来ることではないのは分かっている。
自分の境界をしっかり持って、相手の侵入を許さない。
または侵入してきても、自分が揺るがないでいられる。
私は自分以外の人間に対して、境界がうまく保てない。
だから人間関係において、いつも辛さを感じている。
これは、相手のせいではない。
私の問題なのだ。
人付き合いをして行く上で、自己主張は必要なもの。
何も悪い事ではない。
でも、私はずーっとそれが出来ていなかった。
特に20代の始めまでは、ほとんど全部人に合わせてきた。
どこに行きたいかも、何を食べたいかもすべて、
『みんなの行きたい所でいいよ。』って言っていた。
そして自分自身も、それで不満はなかった。
自分の好みさえも良く分かっていなかったから、
人に合わせることになんの苦もなかった。
かえってその方が、楽だったのだ。
でもバンドをやるようになって、曲を作り始めて、
自分で生み出すと言う作業をするようになってから、
すべて人に合わせるという訳には行かなくなった。
それでもかなり後期まで、私は自分の表現したい音楽よりも、
メンバーの求めているものに答えようとしていた。
私が自己主張をすると、周りに嫌われる。
みんなに合わせて、波風立てないでいる方が安全。
そんな風に思っていた。
とにかく、和を乱さないように。はみ出さないように。
そんな事ばかり考えていたのだった。
でも、実はココロの中には、自己顕示欲がしっかりとあって、
人が気付いてくれるのを、待っていたりもした。
でも、自分からは怖くて表現できなかった。
なぜ、自己主張をすると嫌われると思っていたんだろうと考えていた。
実は、私は子供の頃、決して大人しい子ではなかった。
いつも賑やかで、明るくて、自分の思うままに振る舞っていた。
平気でケンカするし、先生の言う事もきかないし。
相当好き勝手にやっていたのをうっすらと覚えてる。
私を嫌っていた友達も、けっこういたんだと思う。
私は、『ワガママだ、ワガママだ。』と言われてきた。
私の自己主張は、みんなワガママなんだ。悪いものなんだ。
私は自分の要求をしてはいけないんだ。
そうやって思い込んできた。すり込まれてきた。
だから、思春期に入って、自分が人からどう見られているかを気にするようになった時。
親からも、『このままじゃ、友達も出来ないよ。』と言われ、
自分でもそう思い始め、私は自分を変えた。
ものすごい強い自己否定が始まった。
今までの自分はダメだ、欠陥人間だ、社会不適合だ。
変えなくちゃ、変えなくちゃ嫌われる。
私は、小学校までの自分とは、180度違う人間になろうとした。
そして変わった。
久しぶりに会った友達が、私の変わりようにびっくりしたほどだった。
あまりにも無口な私に。
人から嫌われたくない、その思いだけが私を動かした。
それからずーっと、私は嫌われないように振舞ってきた。
人と人なんて、相性が合って、いくら丁寧に付き合ってたって、
うまく行かない事もあるし、特に気を使わなくてもうまく行くこともある。
それは別にどっちがいいわけでも、悪いわけでもない、自然な事なのだ。
でも、私はすべての人に好かれようとしていた。
そして、それがうまく行かないと、自分が悪いのではないかと罪悪感を感じる。
自分を責めて、自分はダメな奴だと、欠陥があるのだと思う。
だから人と一緒にいると、消耗する。
嫌われないように嫌われないように、気を付けて疲れる。
今でも、それは残ってしまっている。
相手の言葉とか表情とかを観察して、ココロを探る。
そして、少しでも私に対して嫌な感情を持っていると感じるとすごく気になる。
仕事で会う、顔見知りの営業マンや業者さんとの間でもそんなことを思う。
仕事の付き合いじゃないか、好かれてるとか嫌われてるとか、関係ないじゃない。
そう言い聞かせてはみるものの、やっぱり気にしている自分。
それでも、昔よりはだいぶましになってきたとは思う。
社会生活が長くなると、自分が自分のままでいても受け入れられる場が、
少しずつ出来てくる。
周りのみんなにだって悪い所はあるんだし。
でも、悪い所がありつつも受け入れられてなんとかやっている。
それに、人間は悪い所ばかりの人っていない。
かならず、その人なりのいいところを持っている。
いいところもあって、悪い所もあって、
みんなひっくるめてトータルでその人として受け入れられてる。
そう思えてきた。
いいとこだけ見せよう、悪い所はとことん隠そう、
そんな風に思わなくてもいいんだと分かった。
『去るものは追わず、来るものは拒まず。』
自分と合う人と付き合っていけばいい。
その他の人とは、ほどほどでいいんだと思えるようになってきた。
私がたとえNOと言っても嫌われない。
自己主張しても、ワガママだと言われない。
私は私の望みを言って、相手はそれを聞いて判断すればいいだけ。
良かったらOK、嫌だったらNO。
そして自分も相手に対して、それをしなければいけない。
そうすれば、我慢して相手に付き合ってしまって、
その後、断りにくいからと言ってその人と疎遠になることはない。
いつの間にか相手を悪者にしていることはない。
自分が決めて、自分で行動する。
これを、自分にも他人にも許せば、とても楽な人間関係が保てる。
双方に無理のないような関係が保てる。
まだまだ出来ていないけど、これが当面の目標。
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2003年08月18日(月)
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