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2001年03月19日(月) 春、到来

ふと窓の外に目をやると水平線が広がっていた。
そういえば、水平線を見るのは久しぶりの気がする。

線路沿いでは梅の花が咲いていた。
知らぬ間に季節は確実に動いている。
柔らかな日差しが疲れた体を包み込む。
思わず眠気に誘われる。

帰りの電車は混んでいた。
車内は観光客で溢れ、仕方なくデッキに立つ。
団体で温泉に来たりする集団と言うのは
どうしても好きになれない。旅の興を削がれる気がする。
けれど、そんな彼らもこの時ばかりは窓の外の景色と
コントラストをなしていて、いいアクセントとなっている。
地平線を見てしばし見とれるにも、俗っぽさを体現している
彼らが必要なんだ。

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今日の午後、帰京し夜の面接までしばらくの時間があったので、
キャンパスに立ち寄る。サークルの後輩達が
新入生向けのビラの印刷に励んでいた。

思えば1年前のこの時期、あまりのハードさに入学式前日に倒れ、
さらに飲んだ薬の副作用で点滴まで受けたことを思い出す。
周りの皆の協力のおかげで多くの新入生が入ってくれたことを
嬉しく思う。

キャンパスを辞し、すぐ近くの母校の前を通ると、
吹奏楽部でお世話になった指揮者の先生がいた。
しばし話し込む。

母校は創立100周年を期に、この春校地を移転する。
今は引越し準備の真最中らしい。
新校舎は設備も充実し、広い校舎でのびのび過ごせるとのこと。

けれど、コンピュータが用意されたり、広いグラウンドがある校舎より
冷暖房のない狭い校舎でも「この地」で、どこか懐かしくそれでいて
活気溢れた「この地」で過ごす時間は何物にも代え難い時間だと思う。

冬が終わったとも、春が来たとも誰も認識しないまま、
いつの間にか花のつぼみは膨らみ、柔らかな日差しに照らされて
町を歩く人の表情も明るくなってきた。
別れの寂しさと出会いの予感に躍る心が交錯する季節。

この地に来て10度目の春はもう、
手を伸ばせば届く場所に来ている。


おじゅん |MAILHomePage

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