Dailyみぅこむ
この人は好きか嫌いか、周囲の反応がすごく分かれるなあとよく実感する人だけど、「糸井重里」氏。 私は、好きです、糸井氏。 ちっちゃい頃から、ホントにこの人には影響受けまくって来たからね。
スタートラインは、ゲームでした。ファミコン「MOTHER」。 小学校低学年でこのゲームをやって、今まで剣と魔法で闘って来た少女には、このちょっと不親切で不思議な、切なくて滑稽で懐かしい想い出話みたいなゲームにびっくりした。 賛否両論(あくまで周囲で)のEDも、他の当時のRPGゲームとは全然違う。プツッ、はいおしまい、なんだな!他のRPGは、ラストに近付くほどどんどん辛い状況になってゆくでしょう。でEDで盛り上がって、はあ、終わった!となる。でもMOTHERってね、もちろん最後になればなるほど状況は辛くなるんだけど、周囲は全然それを知らないで普通に暮らしてる。その姿が滑稽に見えたり、反対に自分達が滑稽に思えたり、そんなこんなで辛い最後の旅路をゆくと、途中でまたたまらない出来事があって、切なくて、辛くて、それでやっとボスに勝ったと思ったら、主人公達がこちらを振り返って、それでおしまいなの。静かにエンディングロールが流れておしまい。「世界を救ってくれてありがとう!」とか言われない。胸いっぱいに取り返しのつかない切なさをためこんだまま、おしまい。お話の内容も、今思えばあのファミコンの時代に、よくあんなものを作れたと思わずにはいられない。
MOTHERは、切れ切れになったメロディを集めて、ひとつの曲にすることを目的にしつつ旅をする。だからミニボスをクリアして得られるのがメロディ、という進み方をしてゆく。得られた時の達成感がゲームの楽しさだけど、そうじゃなくて手に入るメロディは、切ない。 主人公が突然辿り着いたピンク色の雲の上みたいな世界。そこの人たちはみんな貝殻みたいなおうちに住んでて、綺麗な色の帽子をかぶってて、みたことのない服に身を包んでいる。でもみんな、昔から主人公を知っていたみたいに接してくれて、宿代請求したりしないし、キャンディくれたり、何も言わないのに好きな料理を作ってくれたりする。でもこの国のみんなは、なんだか不思議な違和感をかもしだしていることにも気付く。居心地はいいけど、なんだかずっとここにいちゃいけないような。その国にはエメラルドみたいな色のお城に、クイーンマリーという若く美しい女王がいて、ひとつのメロディを知っているというから会いにいくと、女王もまた、とても優しく接してくれる。でも女王はずっとメロディを思い出せないの、ごめんなさいね、と顔色を沈ませる。 実はこの女王は、主人公の行方不明になったおばあちゃん。おばあちゃんは夢の中で、夢の世界を作って生きていた。そして女王がメロディを思い出し、歌った瞬間、夢の世界は消えてなくなってしまう。二度と行くことも、女王、いやおばあちゃんに会うこともできなくなってしまう。森のギター弾きの不思議なお兄さんも、勇気がない主人公に、勇気の出るアメをくれた女の子も、みんな消えてしまう。そこで、メロディは手に入ったのに、いいようのない切なさにとらわれるわけです。 またある時は、湖の地下工場で見つけたロボット「イヴ」が仲間になり、非常に手強い山中を旅する途中だからこそとても心強くて、喜んだのもつかの間、一緒に闘って主人公を守って、あっけなく壊れてしまう。そして胸の中から、オルゴールの音がかすかに聞こえてくる。それが最後のメロディだったりして、イベントクリアしたのに切なさがどんどんたまる作りというか、それがいいか悪いかは別として、当時はそんなゲームってなかったものだから、わたしはこのゲームを忘れられなくなってしまった。
前置き長くなりましたね。え、そうですよ、これ、前置きです! ですから続きはまた次のDailyで…
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