俺は、ピットへ走る。
漆黒のそのクルマは、静かに、息を潜める様にそこに佇む。 新しい心臓を包み込み、確かに息づいている。 静かでは在るが、力強く息をしている。 俺は、FDの前に立ちはだかる。 メカニックに目線を飛ばす、彼はニヤリと笑い親指を立てる。
俺は、高鳴る鼓動が押さえられない。 同じ様に親指を立て、コックピットへと滑り込む。 シート、ステアリング、シフトノブ、感触を確かめる。 ひんやりとした感触。
俺をFDが包み込む。 ダッシュボードを軽く叩く。 「OK。頼むぜFD!」
キーを回す。
キュルキュルと言うセルの回転音のあと、「ブオン」と身を震わせ 13B−REWが目を覚ます。 新たに与えられた心臓が、力強く脈動する。 ぎこちない回転だが、その振動が心地よい波となってクルマに、 そして、体に伝わってくる。 バケットシートから伝わる振動と高鳴る鼓動がシンクロする。 熱を帯び始めたシフトノブを1速に叩き込む。
クラッチを繋ぐと、ゆっくりと動き出す。 ポロポロと表面が剥がれ落ちて行く様な感覚。 古い表皮を脱ぎ捨てて、生まれ変わった漆黒の悪魔が動き出す。
知らず知らずのウチに笑みがこぼれる。 俺は、悪魔に魂を売ってしまった。 いや、魅入られてしまった。 交わされた契約、ロータリーに乗るものだけが知る契約。 歓びが体を駆け抜ける。
復活
蘇りし悪魔は、より強力な力を手に入れて・・・ 悪魔は、今、解き放たれた。
なんて、コトを夢見つつショップへ行きました。
が、
やっぱりと言うか、なんと言うか・・・ いまだエンジンのオーバーホールは終わっていない。
でも、エンジンは分解されてた。 思っていたより症状は悪い。 おにぎり(ローター)は、2コとも再利用可能。 でも、サイドハウジング、ローターハウジングは全てダメ。 何かで擦ったかの様にキズが付いている。 どうやら、アペックスシールの偏磨耗が原因の様子。 ハウジングのウォータージャケットには、砂の様なモノがたまってる。 これは、距離の出たREは普通のコトらしい。 ヒドイものになると、不純物で埋まってしまってるモノもあるらしい。
ハーネス、パイプ類も劣化激しい。 エンジンマウントは千切れてはいない。 亀裂は見られるが、再利用する。
クラッチもかなり減っている。
マズイぞ。
クラッチ交換する金無い。 見なかったコトにする。(笑) もう、その他のパーツも到着してる。 足回り、ブレーキ回り。 そしてラジエターも・・・キッチリ商品として陳列されてやんの。 おれのクルマにつけるんだから、箱から出して陳列すんなヨ。 誰かにフィン曲げられたらどうするんだ!(怒)
上手く行けば、来週末にはエンジンに火がはいる。かも?
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