テント芝居なんか見たことも無い人が大半だと思うけど、あれは子供の頃に みるものです。オトナになって見ても新しいネタ、ちょっと珍しい出し物、 笑えるネタで終わるでしょう。それが普通の感覚。 3本もみるとネタ元もパターンもわかってきます。 新しいものを見たいヒトは舞台にどうぞ。テントの中は今だに戦後とバラッ クと喪失と希望が渦巻いています。見世物小屋とちゃんばらと水と火と宙乗 りのスペクタクル。
あの空間にまったくの個人でどこの集団にも所属せずに在るのはさみしい、 むなしいことでしょう。役者は自分の声で叫んでいるようで、みんな誰かの 代弁をしているよう。音楽もいつかどこかで聞いたような気持ちになるでし ょう。子供にはそれがわからない。だから今だに旅芝居についていってしま い、テントを組み、大工仕事を覚え、舞台で叫び、子供をつくり、オトナに なる人達がいるのです。 それが伝統芸でるとはカケラも思わないで。
自分はずいぶん若い頃からこどもらしさがなかったので、この世界を身近に 感じていたけれど、結局仲間に入りたいと思うことはありませんでした。 彼らは本当に無邪気に悩み傷つき殴り合う。 これは批評の文ではなくて、ある意味ではうらやましいと思っていたことも 確かな関係性への感傷文です。 自分は逃げて逃げて、自己嫌悪のどん底でもどうしてもどこかに所属するこ とを許せなかった今の位置からものを言っている。
今さら言ってもおかしいかしら?まだテント芝居アングラ芝居をみたことが ないなら、一度はみてみるといいよ。今なら駒込のお寺の境内で水族館劇場 の”パラダイスロスト 懐かしい夢”というこれぞ!という芝居をやってま す。初心者には最高だと思うよ。
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