紫
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これまで、4回の「退院」というイベントをしました。
1回目は、生まれたとき。
記憶にはありませんが、おそらく母の腕に抱かれ、父と母の足元には兄がまとわりつき、幸せだった家族像が、そこにあったのでしょう。
2回目は、24歳の誕生日の数カ月前。
ずっと私のそばに付き添ってくれたブラジル国籍のソノキさんと、ずっと私の看護をしてくれたユーモアたっぷりなナースたちに見守られ、そして、加害者という名の私の恩人家族に付き添われ、退院しました。
3回目は熱川にあるリハビリ病院から。
ずっとつけていた足の装具をはずされ、ホントに久々に自分の素の足で左右交互に足を出して歩みを進めた日。
熱川の海から吹く風と、すぐそこにそびえる山、花、スピークイージー。
そして、入院仲間たちがあたたかく、あたたかく送り出してくれました。
4回目は……、今日。
そそくさと点滴を抜かれ、さっさと退院手続きをして、病院を後にしました。
週末に折れた私の頬骨は、幸いにも手術ができにくい場所であり自然治癒で治す選択をしてくれたドクターと、もう二度とこの病院の受診するまいと心に決めさせてくれたナースたちに、ある意味感謝というかあきらめというか………、よくわからない感情を抱いたまま、ひとり、とぼとぼと病院を後にしました。
とぼとぼ病院を後にして向かった場所は、やはりあたたかい場所。
おいしいお味噌汁を食べ、ようやく日常が戻った気分です。
あぁ、ありがとう。
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