2003年12月23日(火) |
『宝石箱』(女の子ヒカル小ネタ。…そのわりに……(苦笑)) |
「進藤、これから和谷ん家でクリスマスパーティーするんだけど、どうかな?」 「え?パーティー?」 ヒカルは目を丸くして冴木を見上げた。 小さく首をかしげるその姿がなんとも愛らしく、 (うわ……激カワイイ………!) 思ったことをモロに言葉に出しそうで、冴木は思わず自分の口を手で押さえた。
背後に、呪いのおかっぱ人間がしのびよっているとも知らずに。
「……鼻血ですか?冴木さん」 「おわっっ!と、塔矢アキラ?!」 いきなり背後にはりつかれればそりゃ怖いだろう。おどろ線ぷらすツンドラブリザード並の冷気を伴えば余計である。 「ふふふふふ……ええそれはね、進藤は薫り高く咲く百合の花よりも清らかで野に咲くひなぎくよりも可愛らしく夏に咲く向日葵よりもまぶしくてその瞳は冬にきらめくシリウスよりも冴えわたり小野小町も楊貴妃もクレオパトラをもしのぐほど美しく愛らしいのですからそんな進藤を目の当たりにしてそのような事になるのは分かりますよええ身をもってわかりますともしかしながらこのボクをさしおいてそんな妄想にふけるとは不忠不義の曲者今すぐココで切り捨て御免にしても………」 「ちょっと待て塔矢!俺はただ単に……」 「…おや、切り捨てでご不満ならば打ち首、はりつけに縛り首に火責め水責めコンクリート詰め……」 回り始めたアキラの思考は止まりようがなかった。
「ねぇー、ちょっと、おふたりさん?」 「へ…?」 ひとりでぐるぐる回りながら何事か呟く塔矢と、圧倒されて身動きもならなくなった冴木に声をかけたのは、今年女流枠でプロ入りを決めた奈瀬明日美だった。 「取り込み中悪いんだけど……進藤なら、帰ったわよ?『今日は約束があるからゴメン!』だってさ」 「約束って…誰と?」 「さぁ?私も通り掛かりに伝言たのまれただけだもの」 明日美はふふん、と笑ってみせた。 冴木はその背中に黒い羽を見たような錯覚にとらわれる。 「でもねぇー」 できればその続きは聞きたくない。…そんな気がするのに。
「なんたってきょうはクリスマス・イブだもん!彼氏とデートに決まってるじゃないvv」 進藤も天然のようでなかなかやるわね〜♪と、明日美はご機嫌よろしく、自分もこれから予定があるから、と手をひらひらさせて去っていった。
後にのこされたのは、今年もシングルベルを約束された男がふたり。 「はぁ……和谷に何て言おう」
「なぜだ…何故なんだ進藤……この日のために特注のクリスマスケーキ特注ウェディング風も用意したし、ミニスカサンタの衣装だって、フィンランドから空輸したトナカイと橇で街中をパレードするために手配しておいたのに……!」
……いや、だから。
「君が望むなら雪だって降らせようと、大量の念人形も用意してお百度参りだってするのに……」
「……………………」
「一体何がいけないというんだ!!
進藤〜〜〜〜〜〜!!!!!!(号泣)」
………たぶん、その全部だと思うぞ、とは、冴木は分かっていても口にすることはなかった。
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