petit aqua vita
日頃のつぶやきやら、たまに小ネタやら…

2004年01月17日(土) 『ささやき』(オガヒカ小ネタ。ほんとに小ネタ)

カーテン越しの、光がやわらかくさしこんでくる。

かすかに風の音が聞こえる。今日も、寒い日になりそうだ。


でも。


ふたりが眠るこの部屋は、ここちよい温かさに満ちていた。

ベッドには、大きなふくらみと、小さなふくらみ。

ちいさなそれが、むくむく、と動いた。



「おがたさん」


起きたばかりの、かすれた声。

「おがたさん」

するりと細い手が伸びて、まだ眠っていた緒方の頬に添えられた。ぱしぱし、と、やさしく叩いてみる。


「……………」


いささか迷惑そうに、彼が細く目を開けると。



ヒカルは、それはそれは嬉しそうに、にっこりと、微笑んだ。


「たんじょうび、おめでとう」




緒方はまだすこし寝ぼけたまま、ヒカルを抱き寄せ、ヒカルの首筋に頬をよせる。

ヒカルは、くすくすと笑いながら、緒方の亜麻色の髪をそっとなでた。





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平 知嗣 [HOMEPAGE]

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