オンでいたい

 あるがまま、世界をひとを受け入れようと思った。
 小さいウツワなりに。
 オンかオフしかないなら、常にオンで、なにも捨てない、なんでも受け入れ、口に含んで咀嚼して飲み込んで消化して、血肉にしたい。ときどき少し排泄されて、たぶん排泄したものや消化不良おこして吐いたものを見て「もったいない」と呟きながら、胃拡張おこそうが、ウツワを大きくしていきたい。
 だって自分からは切らないと決めた。捨てないと決めた。
 だからムカつく野郎からの電話も受けるし、近々実際会ってガッツリ話し合って消化して昇華したい。焦らずに、でも速やかに。
 その結果切られることになっても、でも切らない。
 決めたんだ。常にオンであろうと。
 オンでいたい。立ち止まっても動き出しても、その結果変わっても。
 オンでいたい。
 成長したい。
 自立して自律したい。
 そうして世界とひとと向き合いたい。
 しんどいかも知れないけれど、そう決めたんだ。


 民族学校を出て、「日本人社会」で9年間働いた。
 最初の一年は、それまでの価値観がガラガラと音をたてて崩れていくようだった。
 3年後、受付から経理に転属された頃、「かわった」と同僚に言われた。
 慣れない仕事の毎日はきつかったけれど、嬉しかった。
 たぶん、成長できたのだと思った。
 「日本人社会」に適応することを望み、それに成功したのだと嬉しかった。
 1年前、上司が亡くなった。厳しくて優しいひとだった。
 彼の分も精一杯厳しく優しく生きよう、仕事しようと分不相応に仕事を抱えた。
 まあ、挫折しましたが…それでもがんばった経験は消えない。
 だからいい。無駄じゃない。成長した、と思う。
 成長を望んでいる。

 いまのところ、度量は狭いけれど、全部受け入れたい。
 キツイことばも、突き放されても、切り捨てられても、それを乗り越えて、それでもオンであろうと思う。


 混乱して眠れない。布団にもぐってみたものの、眩暈と震えと嘔吐が止まらなくて眠れなかった。
 やっぱり怒られるのも、切り捨てられるのも、怖い。すごく怖い。
 でも常にオンでいたい。
 いつもいる。オンでいる。オンでいたい。
2005年05月25日(水)

メイテイノテイ / チドリアシ

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